> レビュー 2003年7月14日 06:21 AM 更新

500万画素を手に入れたコンパクト最上位機――キヤノン「PowerShot G5」レビュー(3/3)


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500万画素投入は、マーケティング的な要素が強い?

 G5の売りである500万画素化だが、ZDNet読者のような賢いユーザーは、単純な高画素化が必ずしも高画質に結びつかないということは、百も承知のことだろう。だが、あるデジカメメーカーによると、欧米ではいまだに“高画素信仰”が根強く残っているという。

 500万画素機が市場をにぎわし始めたときに「G3に採用した1/1.8インチ400万画素は、CCDとしてベストバランス」と言っていたこともある同社が、その舌の根も乾かないうちに1/1.8インチ500万画素を投入してきたのも、ワールドワイドで展開する同社ならではのマーケティング戦略があってのことだろう。


背景のボケ味もなかなか。コントラストの強さと色の鮮やかさは、G1ユーザーの筆者にはちょっと違和感も。1/320秒、F4


人物。1/200秒、F4

 だが、CCDサイズを大きくせずに高画素化のみを追求すると、ノイズや偽色といった画質劣化要素が増えるといった課題が指摘されている。実際に、G3とG5の画質を比べて、暗部ノイズが増えているといった報告が、ユーザーサイトなどで上がっている。

 また、単純に画素数が増えることによる“ファイルサイズの肥大”といった問題も、意外と見落としがちだが重要だ。

 被写体によって圧縮率も変化するが、500万画素2592×1944ピクセルの画像は、最高画質(スーパーファイン/ラージモード)では一画像あたり3Mバイト前後にもなってしまう。同梱の32Mバイトフラッシュメモリでは、約11枚しか撮影できない計算だ。400万画素のG3は、最高画質モードでも32Mバイトで約14枚撮影できた。

 300万画素のG1に1GバイトのMicroDriveを挿していても、たまに撮影枚数が足りなくなってしまう時がある筆者にとっては、プラス100万画素の魅力とファイル肥大化などデメリットを天秤にかけると、「G3でいいや」となってしまう。

 海外ではG3とG5が併売されるという噂もあるが、G5の後継として位置付けられている国内では、G3の生産は近々にも終了する予定。大手量販店では、すでに在庫のみで販売を終了しているところも出てきている。

 実売では1万〜2万円前後の価格差があるG3とG5。500万画素に魅力を感じるユーザーにはG5は当然お勧めできる製品ではあるが、「400万画素で十分」「シルバーボディが好き」「500万画素の1/1.8インチCCDは信用ならない」といったユーザーなら、急いでG3を買いに走ったほうがよいかもしれない。





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個々を見ると欠点もあるし強い個性があるわけではないが、画質や性能をトータルで見ると間違いなくトップクラス。フラッグシップデジカメにふさわしい総合性能を持つハイエンドデジカメといってよい。400万画素ではあるが、500万画素機に見劣りのしない画質と高機能を持っている。

▼ PCUPdate:PowerShot G5

関連リンク
▼ キヤノン

[西坂真人, ITmedia ]

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