マーケティングにエリア型ワンセグを活用、その狙いは:渋谷の実証実験に新展開
渋谷で1年にわたって展開されるエリア限定ワンセグの実証実験で、この仕組みをマーケティングに活用するという取り組みが始まった。その狙いについて、参加プレーヤーに聞いた。
ワンセグで短編映画を見て商品の世界観を知り、Webにアクセスして情報をチェック。興味を持ったらその場でサンプルを入手――。エリア型ワンセグを活用した、こんな商品プロモーションが、3月22日まで渋谷で展開されている。
このプロモーションは、ネクストとエリアポータルが渋谷で実施しているエリア型ワンセグの実証実験の一環として展開しているもので、広告主はヘアケア製品大手のユニリーバ・ジャパン。新商品の訴求に、女優のキャサリン・ゼタ・ジョーンズを起用したプロモーション映像を活用したいと考えており、その手法としてエリア型ワンセグが適していたことから採用を決めたという。
メインのプロモーションイベントは、SHIBUYA 109前に設置した特設ブースで実施しており、周辺にはQRコードを表示したポスターを掲出。来場者が携帯電話でQRコードを読み取ると、渋谷一帯エリア向けのオリジナル番組を試聴するための、ワンセグチャンネルのチューニング方法を記載したWebページにアクセスできる。指示通りにチャンネルを設定すると、キャサリン・ゼタ・ジョーンズが登場するヘアケア製品のプロモーション映像を視聴可能になり、この映像を視聴すると、アクセサリーやヘアケア製品が当たる抽選会に参加できる。
このQRコード入りポスターは、センター街やその付近の井の頭通りにも掲出され、イベント会場以外の場所でも短編映像を視聴できる。データ放送で抽選会の案内を配信しているので、そこから抽選会場に向かうことも可能だ。
プロモーションイベントを皮切りに新展開――ネクスト
このプロモーションイベントは、ネクストとエリアポータルが1年にわたるエリア型ワンセグの実証実験を行うと発表してから、初の具体的な放映事例となる。両社はこれまで、単発のイベントなどでさまざまな実証実験を行ってきたが、本格的なプロモーションでエリア型ワンセグを活用するのは今回が初だという。
ネクストの執行役員で企画営業本部長とワンセグソリューション事業部長を兼任する広川由貴雄氏は、今回の取り組みの位置付けについて、「イベントと絡めたエリア型ワンセグの番組に、どれだけ興味を持っていただけるかを検証するのが狙い」と説明し、このマーケティング連動の取り組みを皮切りに、新たな実証実験を開始する予定としている。
今後のエリア型ワンセグの実証実験は、大きく3つの方法が柱になるという。1つは今回のようなプロモーションイベントでの活用で、この場合は「ワンセグ放送をクライアントにまるごと1日貸し出す」(広川氏)仕組みで提供する。2つ目は、渋谷エリアの百貨店や家電量販店などと連動し、お得情報を継続的に放送するような形での活用だ。「渋谷エリアならではのお得情報の放送が、どの程度の集客効果につながるかを検証したい」(同)。3つ目はエンタテインメント番組の放送で、映画や音楽のトレーラーを流して、映画館やイベント会場への誘引を図る。
同社では今後、秋葉原や新宿でもエリア型ワンセグの実証実験を展開したいと考えており、それぞれの場所の個性を生かした実証実験を展開することで、メディアとしてのエリア型ワンセグの可能性を追求する考えだ。
ユニリーバ・ジャパンに聞く、エリア型ワンセグを採用した理由
初のエリア型ワンセグのマーケティング活用に名乗りを上げたのが、ユニリーバ・ジャパン。同社でラックスヘアのマーケティングを担当する古賀悠氏に、採用のいきさつを聞いた。
ユニリーバでは、ヘアケア製品の1ブランドとして知られるLUXのイメージキャラクターに、ハリウッド女優のキャサリン・ゼタ・ジョーンズを起用。“ハリウッド女優といえば映画”ということで、映画仕立てのプロモーションムービーで、新製品を訴求することが決まったという。
同社では“キャサリン・ゼタ・ジョーンズの主演映画”といった趣の7分のプロモーションムービー、「アルケミスト−輝きの秘密−」を製作し、「この動画を通じて、単に商品の機能性だけではなく、世界観までを伝える」(古賀氏)ことを目指した。今回のイベントでは、「いかに多くの方にフィルムを見ていただくかがポイントになる」ことと、「プロモーションを行う上で、みなさんの興味を引くような新しい取り組みをしたい」という2点から、エリア型ワンセグの採用を決めた。
「“今、ここにいる人だけが視聴できる”という特別感と、“誰もが持っているケータイで視聴できる”という手軽さがエリア型ワンセグの魅力。商品の世界観を理解していただくためには映画を見ていただく必要があり、機能のよさを知ってもらうためには使っていただくというリアルな体験が必要になるわけですが、そこにうまく導線を張って、一連の流れの中で世界観も製品も理解いただけるようになっているところがポイントです」(古賀氏)
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