位置情報から人の動きを分析 「コロプラおでかけ研究所」
コロプラが、人々の移動に関する調査と分析を行う「コロプラおでかけ研究所」を設立。第1回として、東日本大震災後の東北エリアの移動を分析したリポートを公開した。
位置情報ゲームプラットフォームを展開するコロプラが、人々の移動に関する調査と分析を行う「コロプラおでかけ研究所」を設立した。主席研究員には、大和総研でアナリスト業務に従事してきたコロプラ取締役CSOの長谷部潤氏が就任する。
同社は2005年から位置情報を活用したゲーム「コロニーな生活☆PLUS」を提供しており、現在では、ユーザーの位置登録回数が月間4000万回(コロプラサービス全体)に達している。この膨大な位置情報データをレポートにまとめて外部に発信するため、コロプラおでかけ研究所を設立。第1回レポートとして「人々の動きが急速に回復へ〜東日本大震災後の東北エリア〜」を発表した。同リポートからは、東北地方太平洋沖地震による被災エリアでの「人々の動き」が、回復に向かっていることが明らかになっている。
震災後、コロプラ+でユーザーが位置登録した地点の実績を見ると、山形県での位置登録エリアには大きな変化が見られないものの、宮城県仙台市から岩手県一関市、奥州市にかけては大きく減少。また三陸海岸エリアでは位置登録の実績がほとんど見られず、基地局自体が壊れたケースも多いことも含め、被害が甚大だったことが分かる。
しかし震災直後には、他県から被災エリアへの人の動きが大きく回復。コロプラ+では、普段もっとも多くの位置情報を登録しているエリアを、ユーザーの「本拠地」としてひも付けしており、震災のあった11日と12日にかけては東京、埼玉、神奈川、千葉の1都3県からの移動は急落したことが記録されているが、13日からは1都3県から東北3県への移動が上昇。20日以降は、少なくとも東京を本拠地とするユーザーの移動は、震災前の平日7割ほどまで回復している。24日に東北道が全線復旧すると、東京以外の3県でも急速に移動状況が回復し、1都3県全体としては、震災前にかなり近い水準まで達しているという。
同時に、東北エリア内での人の動きも回復の兆しを見せており、24日に東北道など高速道路の通行規制が解除されたのを機に移動が活性化。特に岩手県のユーザーの宮城県への移動量が跳ね上がり、通信、そして交通の復旧が超スピードで進められたことがうかがえる。
人の動きに回復の兆しがあるとはいえ、東北エリア内の移動は、震災前の半分程度の水準にとどまっているのが現状だ。特に、他県への移動だけでなく、「自らの県内での位置登録」においても厳しい状況に置かれているのが福島県で、宮城県や岩手県と比較して、震災後の位置登録の水準が大幅に下回っている。福島第一原子力発電所周辺では、位置登録実績を地図上に示したマップでも空白が見られるなど、原発問題の深刻さがうかがわれる。
コロプラでは、取得した位置情報データについて統計処理を行い、個人を特定できない形でレポートに活用。今後も位置情報を活用し、社会に役立つレポートを定期的に発表するとしている。
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