“位置ゲー”のテーマパークを目指す――KDDIとコロプラがプラットフォームを提供
コロプラがKDDIと提携し、位置ゲープラットフォームの「コロプラ+」を提供。プラットフォーム上にさまざまな位置ゲーを“テーマパークのように集めて”提供することで、位置ゲー市場の拡大とモバイル/リアルの連携サービスの活性化を目指す。
「“位置ゲー”のテーマパークを目指す」――。人気位置情報ゲーム「コロニーな生活PLUS」を提供するコロプラとKDDIが提携し、11月11日から位置情報を活用した携帯電話向けゲーム(位置ゲー)とサービスのプラットフォーム「コロプラ+」を提供すると発表した。
登録ユーザー150万人(11月10日時点)を擁するコロプラが持つ位置情報ゲームの運営・開発ノウハウと、KDDIの集客力を生かしたプラットフォームを両社が共同で構築。プラットフォーム上にさまざまな位置ゲーを“テーマパークのように集めて”提供することで、位置ゲー市場の拡大とモバイル/リアルの連携サービスの活性化を目指す。
なお、KDDIはこのプラットフォームを「au one コロプラ+」という名称で提供する。
賛同企業には、位置ゲー開発用APIとSDKを無償で提供
LAP(Location-based Application Provider)と呼ばれるコロプラ+の賛同企業には、位置ゲー開発用のAPIやSDKを無償で提供。このAPIには位置情報の不正登録を防ぐ技術が含まれており、初めて位置ゲーを開発する企業でも、不正利用の恐れがないサービスを短期間で開発できるという。すでにゲーム会社や旅行/グルメ関連の情報サービス企業、ナビサービス提供企業などの15社が参画を決めており、2011年の初旬から各種サービスが登場する見込みだ。また、個人の開発者に対しても「機が熟したら」(コロプラ 代表取締役社長の馬場功淳氏)プラットフォームを開放するという。
KDDIとコロプラはプラットフォームの提供に合わせて、NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルのフィーチャーフォン向けに、Webベースの位置ゲー3種と、位置ゲーポータルサイトの「コロプラ+」を提供する。ゲームはコロニーな生活PLUSに加え、新たに位置ゲーパズルの「コロパズ 〜コロミンさんとパズルなセイカツ」とロールプレイングゲーム風の位置ゲー「キャリー・ストーリー」を用意。ポータルサイトは、プラットフォーム上にある複数の位置ゲーに、位置情報をまとめて登録できるのが特徴で、登録先を任意に選択できる。ほかにも位置情報と連携したTwitterサービスの「コロツイ」や、移動距離や測位した場所などの情報を管理する「ライフログ機能」を提供し、11月下旬には、Android端末やiPhoneへの対応も予定している。
なお、auケータイ向けのポータルサービスについては「au one コロプラ+」という名称で提供。基本的なサービスメニューは他キャリア向けのものと同等となる。KDDIでは、au oneポータルからの導線を用意したり、回収代行サービスを導入するなどの施策でユーザーが使いやすい環境を提供する考え。今後はauが提供する他のサービスとの相互連携も視野に入れ、開発を進める。
発表会にはゲームリパブリック 代表取締役社長の岡本吉起氏、リクルート カスタマーアクションプラットフォーム室長の出木場久征氏、ユビークリンク 代表取締役社長の増田有孝氏が登壇し、賛同企業の代表として意気込みを語った
ゲームからツール、リアル連携へと拡大
プラットフォームのロードマップについては、当初はゲームを中心としたアプリを充実させ、次にアプリ間の連携を視野に入れたツールを展開。その後、リアルの店舗やサービスなど、地域振興につながる分野に拡大する計画だ。プラットフォーム上のアプリ間連携も推進するとし、コロプラ CSOの長谷部潤氏は「シャーレの中でアプリ同士が化学反応を起こし、新たな価値を生むようなプラットフォームにしたい」と意気込んだ。
長谷部氏はさらに、コロプラ+が創出する新たな価値について、マーケティング用語の「AIDMAの法則」を引用して説明。「Attention」「Interest」「Desire」「Memory」「Action」という消費行動のうち、Interestをゲームを軸とした「Incentive」に代えて欲求への入り口とし、位置ゲーの特性を生かした「Move」をMemoryの代わりにしてアクションにつなげる“新AIDMA理論”を打ち出した。これが購買の喚起につながることは、すでにコロプラが提供するリアル店舗や交通/旅行サービスと位置ゲーの連携サービスで実証済み。10月にはパートナー企業の売上高が1億円を超えるなど、地域の振興に役立つサービスに育っている。
「これまでのインターネットの思想は、“人がモノを動かし、人が動かなくてすむようにする”ことを目指すものだったが、コロプラは“モノを固定化させ、人が動いていくこと”に価値を見いだしている。インターネットこそが人を動かすツールになる――という思想であり、これを具現化したのが我々のサービス」(長谷部氏)
“先進サービスといち早く組むau”をアピール
KDDIが今回の提携で狙うのは、ユーザーとの新たな接点づくりと、モバイルとリアルの連携による新たな市場の創出だ。KDDIは早い時期からGPSケータイやナビサービスの普及に取り組んでおり、携帯電話のGPS対応率は93%に達している。“ほぼすべてがGPSケータイ”という強みを生かすのに“位置ゲー”は格好のサービスだ。
他キャリアの携帯電話向けにも同時に同じサービスを提供するため、auの優位性が見えにくい部分もあるが、KDDI 新規ビジネス推進本部長の雨宮俊武氏は、プラットフォームの共同開発で得られるノウハウが、今後のサービス開発や既存サービスとの連携に役立つと話す。
さらに、大人気ソーシャルアプリ「サンシャイン牧場」の提供で知られるRekoo、AR(拡張現実)サービスが注目を集めるきっかけを作った「セカイカメラ」の頓智ドットに続くトレンド企業と提携することで、auの先進性をアピールしたい考えだ。
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