ブラザーが“電脳メガネ”を事業化 産業用途で出荷開始
ブラザー工業が、現実の視野に電子機器からの画像を重ね合わせられるメガネ型ディスプレイ「AiRScouter」を製品化した。NECの現場業務向けウェアラブルコンピュータに採用が決定しており、今秋にも出荷される。
ブラザー工業は8月24日、シースルー型ヘッドマウントディスプレイ「AiRScouter(エアスカウター)」を製品化し、事業展開すると発表した。NECの現場業務向けウェアラブルコンピュータ「Tele Scouter」のディスプレイとして採用が決定しており、今秋にも出荷を始める。出荷台数および目標販売台数は非公表。
AiRScouterは、実際の視野に電子機器からの画像を重ね合わせるメガネ型ディスプレイ。メガネに内蔵した高精細(800×600ピクセル)カラー液晶パネルの画像を、ハーフミラーを介して目に投射することで、視野を妨げない半透明の画像表示を実現する。1メートル先の16インチ画面に相当する視認性を実現したとしており、「12ポイントの細かい文字まで視認でき、マニュアルなどの文書確認にも適している」のが特徴。映像を見ながら両手での作業が可能になり、工場での組み立て作業といった現場業務の支援に役立てられる。
映像信号や電力は、ケーブル接続した外部端末から受け取る。PCに加え、スマートフォンとも接続できる。ディスプレイ部分は約64グラムで、メガネフレームやケーブルを含めても約106グラムと軽量小型なのも特徴となる。通常のメガネとの併用も可能。帽子やヘルメットを着用していても利用できる。
ブラザー工業は2008年にメガネ型の網膜走査ディスプレイの試作機を開発し、事業化に向けた改良を続けてきた。NECとのTele Scouterの取り組みは2009年10月に発表。このほど事業化の目処が付き、NECへのAiRScouterの出荷が決定した。
今後は子会社のブラザー販売を通じて、システム開発・構築会社を対象に営業活動を展開。機器組立支援、遠隔作業支援、ピッキング作業支援といった、産業用途での販売拡大を目指す。
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