「Lumia 920」の成績いかんでNokia CEOに審判か――プレッシャーに耐えるエロップ氏
苦境にあえぐNokiaのCEO、スティーブン・エロップ氏に対する圧力が強まっている。新モデルの成績いかんで、その手腕に対する審判が下るという見方もあるようだ。
苦境にあえぐNokia(フィンランド)のCEO、スティーブン・エロップ氏に対する圧力が強まっているようだ。エロップ氏といえば、米Microsoftと提携し、「Windows Phone」を主力スマートフォンにするというNokiaの大胆な戦略変換の立役者で、その手腕に注目が集まっていた。しかし、最新フラッグシップモデル「Lumia 920」を発表した後も同社の株価は下がっており、その手腕を疑問視する声も出始めているようだ。こうした中、「エロップ氏に対する審判は、2013年のはじめにも下るのではないか」という関係者の声を、Reutersが集めている。
Elop氏は2010年9月、Microsoftから引き抜かれてNokiaのCEOに就任した。当時、最大手の携帯電話メーカーだったNokiaは、すでに米Appleに圧され、Android陣営の勢いも加速し始めていた。Nokiaは前任のオリーペッカ・カラスブオ氏の下で、Symbian、それに米Intelと共同開発するLinuxベースの「MeeGo」で立て直しを図る戦略を進めていたが、エロップ氏が下した決断は、Microsoftとの提携だった。2011年2月にMicrosoftのスティーブ・バルマー氏と握手を交わし、同年秋に初めて「Lumia」ブランドのWindows Phoneを送り出した。
だが、Lumiaは現時点で大成功したとはいえず、主戦場の米国ではiPhoneと提供するAppleとAndroidを担いだSamsungがトップ争いを展開している。Nokiaはさきに、携帯電話の市場シェアトップの座をSamsungに譲っている。
そんな中で期待されていたのが、Windows Phone 8を搭載した次期フラッグシップモデルの「Lumia 920」だった。しかし、9月5日の端末発表直後、これまでの流れを汲んだデザインへの失望、発表時期、市場、価格などの詳細がNokiaから発表されなかったことに対する不満などから、株価は大きく下げてしまった。その後も、Lumia 920のカメラ機能を宣伝する動画や静止画に事実と異なる情報が含まれていたために同社のイメージはさらなる打撃を受けた。
Reutersによると、Nokiaの動きに詳しいNordeaのアナリスト、サミ・サルカミエス氏らはエロップ氏に対する判断が下るのは2013年第1四半期末から第2四半期と見ているという。
Appleが9月12日に発表した「iPhone 5」は、最初の24時間で事前予約が200万台に達しており、Gartnerアナリストのカロリーナ・ミラネッシ氏は、年末商戦は「iPhoneクリスマスになる」とReutersにコメントしている。なお、Wired.comの読者調査では、9月20日19時の時点でLumia 920がiPhone 5を押さえてトップとなっている。
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