モバイル広告収入、コンテンツ利用に追いつかず――オンライン出版協会調べ:調査リポート
モバイルコンテンツの利用が増える一方で、広告収入はそれに追いついていない――。オンライン出版協会の調査から、こんな現状が明らかになった。広告代理店の取り組みや広告の仕組みに課題があるという。
モバイルコンテンツの利用が増える一方で、モバイル広告収入はそれに追いついていない――。オンライン出版協会(AOP:Association of Online Publishers)が、同協会に加盟する出版社を対象に行った意識調査から、このような現状が明らかになった。多くの新聞社や雑誌出版社が、広告代理店の姿勢を課題に挙げている。
AOPは英国に本部を置くオンライン出版社の業界団体。今回の調査では、同団体に加盟している1500以上の雑誌や新聞を対象に、モバイル向けコンテンツ出版と広告について尋ねた。
87%の出版社が「モバイルからのトラフィックは、デジタルトラフィック全体の11%以上を占める」と回答したが、モバイルからの広告収入はそれに追いついておらず、全体の広告収入の6%以上に達している出版社は29%にとどまったという。
トラフィックの増加に広告が追いついていない原因として、最も多く挙がったのは、「広告代理店の(モバイル広告に積極的ではない)姿勢」(55%)だった。次いで、「利益率の低い広告ネットワーク」(52%)、「社内の営業スキル」(38%)、「インタラクティブな広告の作成」(34%)といった要素が上がっている。広告のターゲットとなる「ユーザーの規模」を課題に挙げた出版社は31%にとどまっており、ユーザーの規模よりも広告代理店の取り組みやモバイル広告の仕組みに問題があると見ているようだ。
なお、阻害要因をタブレットに限定すると、「広告代理店の(モバイル広告に積極的ではない)姿勢」と「ユーザーの規模」がともに52%で最多となっている。
ただ、出版社の多くは楽観しており、モバイルは将来、収益拡大のチャンスになると期待しているようだ。調査では、「タブレット」(91%)「モバイル」(85%)が今後1年間で売上増加の最大のチャンスとなると回答しており、62%が主要なポートフォリオをモバイル向けに最適化させていく計画であることも分かった。
AOPでは、広告代理店側がモバイル市場の持つ大きな可能性を認識し、取り組みを強化すれば、今後12カ月でモバイル広告市場は倍増すると予想している。また、モバイル端末向けのコンテンツ開発については、特定のプラットフォーム向けに作成するのではなく、コンテンツのフォーマットを自動で調整して配信するようになるというトレンドも指摘している。ユーザー側の傾向としては、個人情報と引き換えに無償のコンテンツを受け入れるようになると予想している。
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