米政府機関がBlackBerryからiPhoneに乗り換え――RIMの牙城崩れる
RIMが得意とするビジネス市場のユーザーが、iPhoneやAndroidに流れ始めている。ロイターによると、米移民・関税執行局がBlackBerryからiPhoneへの乗り換えを決めたという。
企業や組織で、RIM(Research In Motion)のBlackBerryからiPhoneに乗り換える動きがみられるようだ。Reutersは10月21日付けで、米政府機関の乗り換え事例を「RIMは我々がモバイルに望む技術を提供できない」(米政府機関)というコメントと共に伝えている。
RIMは強固なセキュリティ機能が評価され、欧米を中心に大企業や政府機関がスタッフに支給するモバイル端末としてのポジションを確立してきた。しかし、Reutersが今回紹介した米移民・関税執行局(ICE)の事例によると、同機関はこれまで8年間にわたって採用してきたBlackBerryに関するRIMとの契約を停止し、複数の通信キャリア経由でAppleのiPhoneを調達することになったという。iPhoneは1万7676人のスタッフに支給され、金額にして210万ドル規模の契約になる模様だ。
米政府機関のシステム調達や案件に関する情報サイト、Federal Business Opportunitiesに掲示されたICEの資料によると、同機関はiPhoneを通話などのコミュニケーション手段として利用するだけでなく、カメラ機能や地理空間サービスも利用するという。また、ActiveSyncを利用した「Microsoft Exchange」との統合、仮想プライベートネットワーク(VPN)への対応、遠隔からの管理、アプリケーションの配信管理、ポリシー管理機能なども評価のポイントに挙げている。
Reutersは記事中、10月半ばにコンサル大手のBooz Allen HamiltonがBlackBerryからiPhoneとAndroidに乗り換えた事例にも触れている。そして、このようなトレンドは今後も続くというアナリストのコメントを紹介している。
iPhoneやAndroidはICEが指摘しているExchange ActiveSyncへの対応など、企業向け機能を強化する方向にあり、企業が従業員やパートナー向けのアプリをiOSやAndroid版で公開する動きも進んでいる。RIMにとっては厳しい状況が続きそうだ。
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