英Juniper、モバイルNFC取引高を大幅下方修正――iPhone 5のNFC搭載見送りで:調査リポート
当初、2017年のモバイルNFC取引高を1800億ドルとしていたが、最新の報告書で1100億ドルに下方修正した。
調査会社の英Juniper Researchは12月5日、モバイルNFC市場の最新報告書を発表した。米Appleが「iPhone 5」にNFCチップを搭載しなかったことを受け、携帯端末のNFC機能を利用した取引高を大幅に下方修正した。
Juniper Researchは当初、2017年のモバイルNFC取引高を1800億ドルとしていたが、最新の報告書では1100億ドルと修正した。下方修正に至った最大の要因は、AppleがiPhone 5にNFCを搭載しなかったことだ。iPhone 5のNFC搭載に期待し、より大きな成長を見込んでいた北米と西欧州市場の見通しを修正しており、米通信オペレーターによるNFCのジョイントベンチャー、ISISの遅れも市場にネガティブなインパクトを与えたという。ISISは当初夏までにサービスを開始する予定としていたが9月に延期し、最終的には10月後半に2都市でスタートした。
Juniper Researchのアナリストでレポートを作成したウィンザー・ホールデン(Windsor Holden)博士は、「Appleの決断はNFCにとって大きな痛手となった」とコメントしている。小売店や企業のNFC技術に対する信頼が損なわれ、NFCリーダー機器の設置やキャンペーンが減ったという。「AppleがNFCをサポートしない限り、コンシューマーと小売店が決済手段としてNFCを受け入れるのは難しいだろう」とホールデン氏は続けている。
iPhone 5のNFC非搭載については、すでにFeliCaが普及している日本や韓国での影響はほとんどないという。
関連記事
- モバイル調査リポート 記事一覧
- 米通信キャリア連合のモバイル決済サービス「ISIS」、ついにスタート
米国最大のキャリアVerizon Wirelessをはじめ米キャリア3社が支援するISISのNFCモバイル決済サービスが、数回の延期の末10月22日にスタートとなるようだ。まずは米国の2都市で実験を開始するという。 - MWCにみるモバイル業界NFC最前線――世界サービス共通化は近いか?
モバイル決済サービスなどへの活用が期待される、非接触ICカード通信の国際規格として、NFCの注目度が高まっている。世界的にどのような取り組みが始まり、またFeliCaが普及している日本でどうなるのか――MWC会場でその動きを追った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.