東京都、保有発電所の電力売却先を一般入札で決定へ:法制度・規制
東京都は多摩川流域の西多摩郡と青梅市に水力発電所を3つ保有している。現在は発電した電力の全量を、随意契約で東京電力に売電しているが、売電先を一般入札で決められるようにするために条例を改正する。決定すれば、新電力も入札に参加できるようになる。
東京都は、都の交通局が管理している3つの水力発電所(図1)が発電する電力の売却先を一般入札で決定できるように条例を改正するために、2012年9月19日から始まる「平成24年第三回都議会定例会」に条例の改正案を提出した。
都の水力発電所の売電先を定める条例は「東京都地方公営企業の設置等に関する条例」。現在は電力の供給先を「一般電気事業者」としているが、提出済みの改正案ではこれを「電気事業者」に変更することを提案している。
一般電気事業者とは、東京電力や関西電力など、日本の各地域に発電所や送電網を保有している10の事業者を指す。つまり改正前の条例では、東京電力に売電するほかに選択肢がない状態だった。
改正案が議会を通過すれば、特定規模電気事業者(新電力)も参加できる入札を開催し、最も良い条件を出した事業者に売電することになる。ただし東京都は、今回の条例改正は売電収入向上を狙うものではなく、より多くの事業者に門戸を開くことが目的だとしている。
都の交通局が管理している水力発電所は、「多摩川第一発電所(西多摩郡)」「白丸発電所(西多摩郡)」「多摩川第三発電所(青梅市)」の3つ。最大出力はそれぞれ1万9000kW、1100kW、1万6400kW。合計すると3万6500kW。
改正案は、改正期日を「平成24年11月1日」としているが、現在東京電力と締結している売電契約を解消しなければ入札を開催することはできない。契約解消について東京電力は「打診があったことは事実だが、まだ何も決まっていない」とコメントしている。
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