風力発電の拡大に備え、中国電力が連系容量を100万kWに増加:自然エネルギー
全国各地で風力発電の取り組みが加速する中で、問題点とされている電力会社の受け入れ態勢に動きが出てきた。中国電力は風力発電設備から送配電網へ連系可能な容量を従来の62万kWから100万kWに増やして、発電量の拡大に対応できるようにした。
風力発電は風速や風向などの「風況」によって出力が大きく変動するため、電力会社は送配電網への受け入れ(電力業界では「連系」と呼ぶ)が可能な容量を制限している。これから続々と大規模な風力発電所の建設が全国各地で始まろうとしているが、電力会社は容量オーバーを理由に接続を拒否することが認められており、風力発電の拡大に向けた懸念点になっている。
そうした中で中国電力が連系容量を拡大することを決め、風力発電の受け入れ態勢の強化に乗り出した。従来は62万kWを上限にしてきたが、今後は100万kWまで受け付ける。
1月23日の時点で、すでに中国電力の送配電網に連系している風力発電設備の出力を合計すると約30万kWあり、さらに新規で受付が完了している分が約23万kWある(図1)。合わせて53万kWになり、これまでの上限である62万kWに近づいていた。連携容量を100万kWに引き上げたことで、受付可能な容量が46万kW強に増えた。
最新の大型風車1基の出力は2000〜3000kWある。46万kWは200基前後に相当し、当面の風力発電の増加には対応できる。ただし中国地方は日本海側を中心に風力発電に適した場所が数多くあるため、今後ますます大規模な風力発電所の建設ラッシュが予想される。
すでに島根県では日本で最大の7万8000kWの発電能力がある「新出雲ウインドファーム」が稼働している。同程度の規模の風力発電所を想定すると、6か所で容量がいっぱいになってしまう。近い将来に再び連系容量を増やす必要が生じる可能性は大きい。
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