充電残量を予測し自動で急速充電器を予約、タクシー向けに実験開始:電気自動車
電気自動車(EV)と言えば、航続距離が短いという問題があるが、もう1つ、充電に時間がかかるという問題もある。急速充電器を利用しても20分ほどかかってしまう。ほかの人が使い終わるのを待たなければならないこともある。大阪府は、この問題の解決に役立つシステムの試験をEVタクシーを使って実施する。
この実験に参加する電気自動車(EV)タクシーは大阪市内を拠点とする34台。これらのEVタクシーには充電残量と、目的地への距離などを分析するシステムを搭載する。実験に使用する急速充電器は、関西国際空港に設置してある1台(図1)。
EVタクシーが関西国際空港近隣に客を送迎するときに、充電残量と目的地までの距離、渋滞情報などを分析して、目的地到着後に充電残量が一定値以下になると予測したら、システムが自動的に関西国際空港に設置してある急速充電器を予約する。タクシーの運転手は関西国際空港に到着すれば、ほぼ待ち時間なしで急速充電器を利用できる(図1)。
ガソリンの補給と異なり、EVの充電にはかなり時間がかかる。急速充電でも20分程度の時間が必要だ。1つの急速充電器に複数の利用希望者が押し寄せたら、数十分待つことになる。ほかの充電器がある場所に移動しようにも、充電残量に余裕が無いということも考えられる。
今回の実験で利用するシステムは、充電が必要かどうかをEVが判断し、自動的に急速充電器の予約を入れる。この実験では関西国際空港に設置した急速充電器のみが対象だが、充電が必要と判断したEVが近隣の空いている急速充電器に予約を入れるようになったらかなり便利になるだろう。
この実験には大阪府のほか、兼松、モーション、日本ユニシスの3社が参加している。実験期間は2013年1月28日から2月28日までの1カ月。その間に利用する関西国際空港に設置してある急速充電器の利用時間は8時〜22時(年中無休)だ。1台の急速充電器を34台のEVタクシーで共用した結果、待ち時間をまったく発生させずに運用することができるかどうか。結果が楽しみだ。
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