値上げ幅を少し抑えた四国電力、先行した関西電力よりも低めに設定:電力供給サービス
東北電力に続いて四国電力が電気料金の値上げを申請した。新しい料金案を見ると、先に申請した関西電力よりも少しだけ低めに抑えた設定になっている。電気料金の原則はコストをもとに決める「総括原価方式」だが、他社の新料金を参考にした部分もありそうだ。
四国電力が7月から適用する新料金は、企業向けの「特別高圧」の単価が1kWhあたり2.36円、「高圧」が2.44円の値上げになる。同様に7月から値上げする東北電力と比べると、わずかに0.2円ほど低めに抑えられている。関西電力の値上げ幅よりも約0.3円低い。
4月から7月に電気料金を値上げする4社の中では、九州電力だけが他社と大きく違う金額になっていて、関西・東北・四国の3社は横並びに近い状態だ。
同様の傾向は商店や工場向けの「低圧電力」の新料金にも見てとれる(図1)。値上げの対象になる電力量料金の単価が0.1円程度の差しかなくなる。ただし現行の単価は四国電力が高く、値上げ率を小さくして他社の単価に近づけたように見える。
さらに家庭向けの値上げ案でも関西や東北と同じような水準に設定している。標準的な家庭の場合で四国電力の値上げ率は8.5%になる(図2)。関西電力は8.8%、東北電力は8.1%で、四国電力は両社の中間だ。
電力会社は事業にかかるコストをベースにして料金を算出する「総括原価方式」を採用しているため、今回の値上げ案もコストの増加分をもとに決定している。四国電力の新料金が関西や東北に近いのは偶然の結果と考えたいところだが、個別の料金プランの値上げ幅をどう決めたかは公表されておらず、疑問が残る。
これから政府の「電気料金審査専門委員会」が各社の申請案を詳細に検討する。低圧電力を含めて家庭・商店向けの電気料金は経済産業大臣の認可が必要で、委員会の意見をもとに値上げ幅を縮小する可能性が大きい。一般の注目度が高い家庭向けの料金だけではなく、認可の対象にはならない企業向けの新料金を含めた妥当性の検証が望まれる。
関連記事
- 東北電力が4社目の値上げ実施へ、地域間の料金格差が広がる
企業向けでは単価を2割以上も引き上げ - 電気料金の地域間格差が広がる、最大で単価が5割近い開きに
東京電力に続いて関西電力と九州電力が値上げを申請 - 企業向け電気料金を2割近く値上げ、関西電力が4月から改定へ
平均19.23%の大幅な単価の引き上げ - 東京電力の値上げ率、家庭向けは5%程度、商店向けは10%超に
9月から適用する新料金が決定 - 電力会社を使わなければ、電気料金は下げられる
電力を安く使うための基礎知識(7)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.