四国電力と比べて年間500万円も安く、松山市の競争入札で新電力が落札:電力供給サービス
松山市の教育委員会が市立中学校29校で利用する電力の供給者を競争入札で決定した。2月に実施した1回目の入札では予定価格に見合わなかったため、改めて2回目を実施して落札者が確定した。落札した新電力の入札額は四国電力の提示額よりも年間で500万円も低かった。
不調に終わった1回目の入札では、新電力で最大手のエネットと四国電力の2社しか応募しなかった。改めて実施した2回目にはミツウロコグリーンエネルギーと日本ロジテック協同組合が加わり、合計4社の競争入札になった。その結果、最低額を提示した日本ロジテック協同組合が落札した(図1)。
松山市の教育委員会は四国電力が7月から電気料金を値上げすると表明したことを受けて競争入札の実施に踏み切った。電力の供給先は市立中学校の全29校で、従来は四国電力に年間で約7600万円の電気料金を支払っていた。
1年間の電力使用量は合計367万kWhを見込んでいて、四国電力の値上げ(高圧で1kWhあたり2.36円)によって約870万円のコスト増になる。総額では8500万円程度まで上昇することが想定された。
確定した2回目の入札内容を見ると、最高額は四国電力の7870万円、最低額は日本ロジテック協同組合の7380万円で、両社の差は約500万円もあった。とはいえ四国電力の入札額でも値上げ後の想定額よりは600万円ほど安くなる。
かりに競争入札を実施せずに四国電力の値上げ分がそのまま上乗せされていたら、今回の落札額と比べて1000万円以上も高い電気料金を支払うところだった。競争入札によるコスト削減効果は極めて大きい。
1回目の入札内容(図2)と比較すると、四国電力とエネットの2回目の入札額は少しだけ安くなっている。ただし松山市の教育委員会が提示した年間の電力使用量が1回目よりも10万kWhほど少なく、実質的には2社の入札額は2回目のほうが高い水準だった。少なくとも四国電力には落札する意欲があったとは思えない。
落札した日本ロジテック協同組合は、新電力の中ではユニークな協同組合方式をとっている。組合に加入するためには1口10万円の出資金と年間1万2000円の組合費が必要になる。現時点で出資金の総額は9990万円である。「エコサブ」と呼ぶ電力の一括購入・共同購買方式を通じて、電力会社よりも安い料金で電力を供給している(図3)。
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