電力システム改革に向けて、東京電力が新組織を拡大:電力供給サービス
「発送電分離」を含む電気事業法の改正を目前に、東京電力が先行する形で体制づくりを加速させている。4月から発電・送配電・小売の3事業に分割したカンパニー制を導入したのに続き、発送電分離に欠かせないスマートメーターと系統連系の専門組織を7月1日に新設する。
いよいよ日本の電力システムを抜本的に改革するための電気事業法の改正案が成立して、2020年に向けた動きが始まる。閉鎖的な電力市場を開放することが最大の目的になるため、電力業界の中には抵抗する勢力が多く残る中、いち早く小売全面自由化と発送電分離に向けた体制づくりを進めているのが東京電力だ。
4月に全社の組織を再編して、発電事業の「フュエル&パワー」、送配電事業の「パワーグリッド」、小売事業の「カスタマーサービス」の3つのカンパニーに分割した。さらに7月1日には「スマートメーター推進室」と「系統エンジニアリングセンター」を新設する(図1)。
東京電力は2014年度から管内の企業や家庭にスマートメーターを設置する計画で、そのために必要なシステムの開発やメーターの入札などを新設の推進室が担当する。スマートメーターの導入によって送配電ネットワークの機能が向上すれば、デマンドレスポンスなどの新しいサービスを提供しやすくなる。
一方の系統エンジニアリングセンターは電気事業法の改正案で第1段階の施策に掲げられた「広域系統運用」などを促進するための組織である。電力の需要と供給を全国レベルで広域にわたって最適化するもので、、新センターは広域系統運用に必要な技術や設備の増強を検討するほか、太陽光発電などの再生可能エネルギーを送配電ネットワークに大量に取り込むための連系技術も担当する。
最大手の東京電力が政府の方針に沿って電力システム改革に向けた体制づくりを積極的に進め始めたことで、改革に消極的な電力会社も対応せざるを得ない状況になってきた。遅くとも小売全面自由化が始まる2016年までに新しい体制を整えないと、その後の競争市場で生き残ることは難しくなる。
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