日本で最も多くの電力を生む水力発電所は?:ウイークエンドQuiz(2/2 ページ)
水力発電は2012年度時点で国内の電力量の8.4%をまかなう重要な電力源だ。それでは年間を通じて最も多く電力を生み出す水力発電所はどこにあるのだろうか。都道府県名で答えて欲しい。
正解:
e.静岡県
ミニ解説
日本にある揚水発電所以外*1)の水力発電所を出力順に並べると、奥只見発電所(福島県、56万kW)、田子倉発電所(福島県、40万kW)、佐久間発電所(静岡県、35万kW、図1)、黒部川第四発電所(富山県、33万kW)の順になる。1位から3位まではJ-POWERが電気事業者であり、黒部川第四は関西電力だ。これらの数字を見ると、正解はbの福島県に思える。
そうではない。水力発電の年間総発電量は天候条件などにも左右されるため、順位が多少揺らぐものの、50年以上にわたって最も1位になった回数が多いのが佐久間発電所だ。通常は14億kWh程度の電力量だが、1991年には18億3000万kWhの最高記録を達成、これは最も条件のよい山梨県に設置したメガソーラーに換算すると出力1500MW(1.5GW)の年間総発電量に相当する。
佐久間発電所に水を供給しているのは佐久間ダムだ。佐久間ダムは天竜川の水を蓄えており、有効貯水量は2億m3に達する。ただし、有効貯水量の大きさでも、佐久間ダムは1位ではない。奥只見ダムが1位であり3位には田子倉ダムが並ぶ。奥只見ダムの貯水量は佐久間ダムの2.2倍だ。いずれのダムも発電用ダムとして建設された。
*1) 揚水発電所を考慮に入れると、最大出力193万kWの奥多々良木発電所(兵庫県)など10以上の揚水発電所の出力が100万kWを上回っている。しかしこれらの揚水発電所は純揚水式であり、自然河川からの水の流入がほとんどない。いわば「大容量蓄電池」のような使われ方をしている。
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