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スマートメーターで電力の自由化を後押し、2016年4月にデータ提供開始へ電力供給サービス(2/2 ページ)

政府が2016年に実施する小売全面自由化に向けて、全国の電力会社が家庭向けのスマートメーターの導入計画を前倒しする。東京電力は2020年度末、最も遅い沖縄電力でも2024年度末に設置を完了する計画だ。合わせて30分単位の電力使用量のデータも2016年4月までに各社が提供を開始する。

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関西と九州だけスマートメーターの仕様が違う

 残る課題はCルートによるデータ提供だ。2016年に小売全面自由化が始まると、電力会社の送配電部門はAルートで収集したデータを自社の小売部門と同様に他の小売事業者にもCルートを通じて公平に提供する必要がある。資源エネルギー庁は2016年4月までにデータ提供を開始できるように各電力会社に求めていて、各社が計画の詳細を検討している。

 ここで気になるのは、電力会社によってスマートメーターの仕様が統一されていない点である。国内では関西電力と九州電力が早くからスマートメーターの開発を進めた結果、2社だけが別の仕様になっている(図4)。最近まで仕様を確定していなかった中国・四国・沖縄を含めて、8つの電力会社は東京電力の仕様に合わせることを決めた。


図4 スマートメーターの仕様と調達状況(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 スマートメーター本体に加えて、A・B・Cルートそれぞれのシステムを開発する必要があるが、開発に関しては各社が個別にRFC(コメント募集)やRFP(提案募集)を実施して開発会社を選定する方針だ。本体の仕様が違う関西や九州のシステムのみならず、本体の仕様が同じ8社のシステムも別々に開発される可能性が大きい。

 当然ながら開発コストが膨らむうえに、システムの稼働時期が遅くなる電力会社も出てくるだろう。全国各地で小売全面自由化を促進するためには、Cルートを通じて電力会社以外の小売事業者にもスマートメーターの情報開示が望ましいが、2016年までに間に合うかどうか。スマートメーター本体と関連システムの仕様が統一できていない問題は、今後の電力システム改革にも大きな影響を及ぼしかねない。

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