23年ぶりの地熱発電所、工事開始へ環境影響評価が進む:法制度・規制
秋田県の湯沢市で計画中の「山葵沢地熱発電所」が2015年4月の着工に向けて環境影響評価の最終段階を迎える。1999年に環境影響評価法が施行されてから初めての大規模な地熱発電所で、予定通りに2019年に運転を開始できれば国内では23年ぶりの実施例になる。
環境省が7月28日に「山葵沢(わさびさわ)地熱発電所」の環境影響評価準備書に対して環境大臣の意見を提出した。これにより環境影響評価の第2段階がまもなく終了して、最終段階の評価書の手続きに入る。評価書の審査期間は30日以内と短いことから、計画通り2015年4月に工事を開始できる見通しだ。
山葵沢地熱発電所は秋田県の湯沢市に建設する(図1)。発電能力は42MW(メガワット)で、運転開始は2019年5月を予定している。1996年に九州電力が大分県に「滝上(たきがみ)発電所」を運転開始して以来、10MW以上の地熱発電所は建設されていない。完成すれば23年ぶりの大規模な地熱発電所になる(図2)。
日本には世界で第3位の豊富な地熱資源があるが、温泉や自然環境への影響などから発電所の建設は厳しく規制されてきた。1999年に環境影響評価法が施行されて、発電能力が10MW(1万kW)以上の地熱発電所を建設する場合には事前に環境影響評価の手続きを実施することが義務づけられている。山葵沢地熱発電所は法が施行されてから初めてのケースになる。
これまでに第1段階の方法書の手続きが2012年4月に完了した。第2段階の準備書の手続きも環境大臣の意見提出を受けて、経済産業大臣の勧告で終了する。これをもとに事業者の湯沢地熱が最終段階の評価書を提出すれば、審査と公告の後に工事の認可を受けることが可能になる(図3)。
評価書の審査期間は30日以内と決められている。その後の公告期間も1カ月であり、評価書の提出から認可までは3カ月程度で済むことが想定される。順調に進めば2015年4月に工事を開始して、2019年5月に運転を開始できる(図4)。
現在のところ国内では主な地熱発電所の開発計画が20カ所で進んでいて、このうち14カ所は環境影響評価の対象になる大規模な発電設備を予定している(図5)。14カ所の中では山葵沢地熱発電所の計画が最も先行しているため、予定通りに運転を開始できるかどうかに注目が集まっている。
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