日本の電気料金は欧米の約2倍、ガス料金では米国が圧倒的に安い:データで見る世界と日本のエネルギー事情(5)(2/2 ページ)
化石燃料を輸入に頼る日本の電気料金は欧米の先進国と比べて約2倍の水準だ。震災後に相次いだ値上げが影響して、電力需要は減り続けている。一方で販売量が伸びているガスの料金は米国の4倍以上も高い。天然ガスの輸入拡大によって電力とガスの両方が安くなる期待は大きい。
日本の電力使用量は3年間で8%も減少
東日本大震災が日本のエネルギー関連産業に与えた影響は極めて大きい。震災がなければ電力会社の抱えるさまざまな問題点が明らかになることはなく、現在進行中の小売全面自由化を柱とする電力システムの改革も表面的なレベルにとどまっていたかもしれない。
2011年3月の大震災を機に電力の需要は減り続けている。電力不足の懸念と電気料金の値上げによる二重のプレッシャーが利用者の節電意欲を高めた結果だ。2010年度から2012年度までの3年間で、国全体の電力使用量は8%も減少した(図4)。特に産業用の電力は2割も減っている。
震災後に全国の原子力発電所が運転を停止した結果、地域による需給のアンバランスも顕著になった。特に原子力の依存度が大きい北海道・関西・九州の3地域では、夏や冬の需要が増加する時期に電力不足の心配がつきまとう。
供給力に余裕のある地域から電力を融通することが1つの解決策だが、地域間の送電容量が小さいために、必要な時に十分な電力を融通できない可能性がある。特に地域の最大電力に対して送電容量が小さい場所は、北海道−東北間と東京−中部間の2カ所である(図5)。政府が増強計画に乗り出しているが、実際に送電容量が増えるのは2020年になる見通しだ。
電力の供給に不安が生じたことで、代替手段になるガスの利用量が増えている。都市ガスの販売量を見ると、2012年度には家庭用と商業用は横ばいながら工業用が大きく伸びた(図6)。2008年のリーマンショックによって落ち込んだ分が一気に戻った状態になっている。
震災を機にガスで発電できるコージェネレーションの導入が家庭用と商業用でも増えていることから、ガスの販売量は今後も伸びるだろう。電力とガスの併用が多くの家庭や企業に広がる一方で、火力発電の燃料は石油から石炭と天然ガスへ移行する。日本のエネルギー事情は世界の中でもひときわ変化が激しい。
(連載終了)
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