九州電力が「個別協議」の要件を開示、毎日9時〜15時に出力抑制を求める:電力供給サービス
九州電力は再生可能エネルギーによる発電設備の接続を保留している問題に関して、保留期間中でも優先的に接続の手続きを進める「個別協議」の要件を明らかにした。毎日9時〜15時に出力を抑制できることが条件で、太陽光や風力では蓄電池の設置が必要になる。
九州電力が口火を切った接続保留の問題は徐々に改善の方向に進み始めている。影響の大きさを考慮して九州電力は10月21日に「一部解除」を発表したのに続き、10月29日には優先的に接続の手続きを進める「個別協議」の要件を公表した。発電事業者は九州電力と個別協議に入ることで、保留期間中でも発電設備の接続準備を開始することができる。
個別協議の要件は再生可能エネルギーの種類によって2通りに分かれる。太陽光や風力による発電設備では蓄電池を併設して、昼間に充電して夜間に放電することが要件になる。蓄電池の容量は太陽光の場合には定格出力の83%、風力では95%に相当する電力の6時間分が必要だ。定格出力が1MW(メガワット)のメガソーラーでは4980kWhの蓄電容量になる(1000kW×0.83×6h)。
これに対して出力を調整可能な水力・地熱・バイオマスの発電設備では蓄電池を併設する必要はない。ただし調整できない発電設備の場合には定格出力の100%に相当する電力の6時間分の容量がある蓄電池を併設しなくてはならない。
いずれの場合でも毎日9時〜15時の6時間にわたって発電設備の運転を停止するか出力を抑制することが求められる。しかも接続保留が解除された後も同じ条件で出力を抑制しなくてはならず、長期的に売電収入が減るために発電事業者にとっては厳しい条件になる。
九州電力は2013年10月から佐賀県の玄海町と鹿児島県の薩摩川内市の2カ所で、蓄電池を使って太陽光発電の出力変動を調整する実証試験を続けている(図1)。2カ所の太陽光発電設備は定格出力が200〜300kWの範囲で、蓄電池の容量は200kWhである。
この容量では発電設備の定格出力に対して1時間程度の電力しか蓄電することができないが、天候による出力変動を調整するには十分と考えられる。九州電力が個別協議を始めるにあたって発電事業者に求めている要件はかなり厳しい。
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