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750万台のスマートメーターが2015年度に、小売事業者の設置も認める電力供給サービス(2/2 ページ)

全国で8000万以上の家庭や企業にスマートメーターを導入する計画が着々と進んでいる。2015年度には九州を除く9つの電力会社が導入を開始して、年間に750万台を設置する計画だ。政府は電力会社以外の小売事業者にも設置を認める方向で、事業者間の責任分担などの検討を開始した。

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関西と九州だけ通信方式が違う

 小売の全面自由化に向けてスマートメーターの導入計画が着々と進む中で、懸念点も見えてきた。現時点で最も気になるのは、スマートメーターの仕様が電力会社によって統一されていない点だ。その1つが家庭と電力会社をつなぐAルートの通信方式の違いである。九州電力を除く9社は「無線マルチホップ方式」を中心に利用する(図5)。


図5 電力会社のAルートの通信方式(2014年12月時点)。出典:資源エネルギー庁

 無線マルチホップはスマートメーター同士で通信しながらデータを伝達する方法で、住宅が密集している地域に適している(図6)。これに対して九州電力は携帯電話のネットワークを利用する「1:N無線方式」を採用した。住宅が密集していない郊外などに適した通信方式と考えられている。


図6 3種類の通信方式の違い。出典:資源エネルギー庁

 このほかに電力線を使ってデータを送信する「PLC(Power Line Communication、電力線通信)方式」があり、マンションやビルなどからデータを送るのに向いている。現在のところ関西電力と九州電力はPLC方式を含む2種類にしか対応しない。両社は他社に先行してスマートメーターの開発に着手した経緯があり、全国で仕様を統一することができなかった。

 スマートメーターの通信方式を全国で統一できないと製造コストに影響するほか、データを収集・管理する「メーターデータ管理システム(MDMS)」の仕様も異なるためにシステム開発コストの増大が想定される。通信ネットワークの運用コストも含めて、電力会社の負担が増えることになる。収益の悪化に苦しむ関西電力と九州電力にとってはコスト削減の計画に反することにもなりかねない。

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