石炭に続いて石油火力発電所が停止、トラブル相次ぐ九州電力:電力供給サービス
わずか3日間に九州電力の2カ所の火力発電所で設備のトラブルが相次いで発生している。長崎県の石炭火力発電所に続いて、鹿児島県の石油火力発電所が1月21日(水)の深夜に運転を停止した。ボイラーの内部で蒸気の漏れが見つかったためで、復旧に時間がかかる可能性もある。
鹿児島県にある「川内(せんだい)発電所」の2基の石油火力発電設備のうち、2号機が1月21日(水)の午前2時42分に運転を停止した(図1)。2基ともに発電能力は50万kWだが、深夜だったことから2号機は出力12万5000kWで運転中だった。
2号機でボイラーの水量が増加したため、運転員がのぞき窓から内部を目視したところ、蒸気が漏れていることを確認した(図2)。運転停止後にボイラーを冷却させて、冷却が完了してから点検を開始する。1月22日(木)の昼12時の時点で、復旧の見通しは明らかになっていない。
九州電力では1月19日(月)にも長崎県の「松浦発電所」で設備にトラブルが発生して、約1日半にわたって運転を停止している。この時はボイラーに水を送るためのろ過装置の動作不良が原因だったが、今回の川内発電所のトラブルはボイラー自体に問題が生じていることから、復旧までに長期を要する可能性がある。
すでに松浦発電所が運転を再開したため、当面の電力需要には十分に対応できる。気温の低下が予想される1月26日(月)からの週でも、需給率は最大で95%に収まる見通しだ(図3)。ただし供給力がさらに40万kW低下すると、停電の危険がある97%まで上昇する。川内発電所が全面復旧するまで、ほかの火力発電所の運転停止を防ぐ必要がある。
川内発電所では1号機が1974年に、2号機が1985年に営業運転を開始した。1号機は稼働から40年以上、2号機も30年目に入っている。川内川(せんだいがわ)をはさんで対岸には、再稼働を予定している「川内原子力発電所」がある。
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