製鉄所高炉跡地の都市型石炭火力発電所、関西電力に130万kWの供給を決定:電力供給サービス
神戸製鋼所は関西電力の火力発電建設に伴う入札で落札者に決定し、このほど電力需給契約を締結した。
今回、建設する石炭火力発電所には火力発電設備導入時の基準であるBAT(Best Available Technology)に即した最新鋭の発電技術である超々臨界圧発電設備を導入する。併せて都市型発電所にふさわしい高水準の環境対策も実施する。
発電所の設置場所は神戸製鋼所内の2017年11月に休止予定である第3高炉の跡地となる。微粉炭火力超々臨界圧発電設備で発電を行い、規模は65万kWの2基体制の合計130万kW(需給最大電力112.1万kW)を計画する(関連記事)。
1基目が2021年度から、2基目が2022年度から供給を開始する。新発電所を電力需要地である神戸市や阪神地域に近い場所に建設することから、神戸製鋼所は電源の効率化やそれに伴う低炭素化を推進。また、ベース電源として安価な電力を大量で安定的に供給することで地域経済のさらなる安定・発展へ貢献する方針だ。
神戸製鋼所は02年に最初の神鋼神戸発電所第1号基(70万kW)を建設した。続いて04年に2号基(同)も運転を開始。発電規模140万kW体制を構築し、02年から関西電力向けに電力卸(IPP)事業を行うなど地元神戸市の電力自給率の向上に取り組んできた。同社の「2013〜2015年度グループ中期経営計画」では石炭火力発電所の建設・操業で培ったノウハウを生かして、電力供給事業を安定収益基盤として拡大することを目指している。今回のプロジェクトもその1つとなる。
地域と共生する新しいスタイルの「都市型発電所」を神鋼神戸発電所はテーマとして掲げており、大都市のライフラインの確立、地域のエネルギーの供給、環境の保全と景観デザイン、地域への社会貢献などを同時並行で進めている。特に都市型発電所として環境保全には力を注ぎ、大気汚染の防止をはじめ、水質保全、騒音・振動・悪臭の防止から廃棄物対策、環境調和まで高い水準の環境技術を導入している。新火力発電所でもこうした環境保全技術が用いられるものとみられる。
なお、神戸製鋼所では電力供給事業の一環として、栃木県真岡市に、60万kW級×2基の合計120万kW級のガスタービン・コンバインドサイクル方式のガス火力発電所を建設する計画を進めている。早ければ2016年にも着工し、一号機は2019年後半の稼働の見込み。発電した電力全量は東京ガスに販売することで合意している(関連記事)。
関連記事
- 製鉄会社の高炉跡地に石炭火力発電所、2021年に140万kWで運転開始へ
神戸製鋼所は電力会社の競争入札に向けて、主力の製鉄所の構内に相次いで火力発電所を建設する計画だ。すでに大規模な石炭火力発電所を運転中の神戸市内の製鉄所に、新たに140万kWの火力発電設備を増設する。2017年に休止する高炉の跡地を利用して、発電事業の拡大に乗り出す。 - 東京電力の競争入札に初名乗り、神戸製鋼所が140万kWの火力発電所
2月15日から東京電力が募集を開始した火力発電の競争入札に対して、鉄鋼大手の神戸製鋼所が参加を表明した。落札できることを前提に、発電能力140万kWの大規模な火力発電所を栃木県に建設する計画だ。2019年〜2021年の稼働を目指して、3月中に環境評価を開始する。 - 火力の増強を急ぐ関西電力、兵庫と和歌山にガス発電所
関西電力が2014年度から10年間の販売計画と電源開発計画を公表した。年率0.5%のペースで販売量が増えると予測する一方、天然ガスによる火力発電所を新設して燃料費の削減を図る。新たに大阪ガスと天然ガスの供給契約を締結したほか、150万kWの火力電源を競争入札で調達する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.