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電力会社で最大の風力発電所、東京電力が静岡県の東部に1万世帯分:自然エネルギー
東京電力は2009年から建設を進めてきた「東伊豆風力発電所」の運転を8月28日に開始した。静岡県の伊豆半島の山中に11基の大型風車を設置して、年間に1万世帯分の電力を供給する。隣接する場所にはグループ会社のユーラスエナジーも5月から10基の大型風車で発電を開始している。
「東伊豆風力発電所」の場所は静岡県の東部に突き出る伊豆半島にある。2つの町にまたがって伸びる山の尾根に沿って大型の風車を配置した(図1)。風車1基あたりの発電能力は1.67MW(メガワット)で、11基を合計すると18.4MWになる。年間の発電量は一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して約1万世帯分に相当する。東京電力では初めての風力発電所で、電力会社10社の中では最大の規模だ。
この風力発電所に隣接して、ユーラスエナジーグループが5月に「ユーラス河津ウインドファーム」の運転を開始している(図2)。ユーラスエナジーは豊田通商と東京電力の合弁会社で、全国各地に風力発電所を展開中だ。ユーラス河津ウインドファームは東伊豆風力発電所と同じ風車を採用して、10基の風車で16.7MWの発電能力がある。
東京電力とユーラスエナジーは風力発電所の建設を同時に進める方式によって、送電線や道路の一部を共用してコストの削減を図った(図3)。風車と発電機もフランスのアルストム(Alstom)社から一括で調達している。
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