電力小売りへの参入続々、大阪ガスも:電力供給サービス
2016年4月の電力小売り完全自由化に向けて、小売電気事業登録が加速している。新たに大阪ガスが登録申請したことを発表し、2016年4月から電力小売りに参入することを明らかにしている。
2016年4月に電力小売りが全面自由化への移行を控え、家庭向けの電力を販売する「小売電気事業者」の登録申請が加速している。2015年8月3日に登録申請が開始されたが、企業や自治体などの登録申請が相次いでいる状況だ。
大阪ガスでは、1995年施行の電気事業法改正を受け、電力事業に参入。段階的に電力事業を強化してきた。新たに電力小売市場に参入することで、総合エネルギー事業者として事業領域の拡大に取り組んでいくとしている。
大手企業では、楽天が丸紅と提携し電力小売り事業に参入することを発表(関連記事)。その他、鳥取市と鳥取ガスが登録を明らかにするなど、地方自治体なども地域企業と提携して参入に手を上げるところが増えている(関連記事)。
特定規模電気事業者から小売電気事業者登録へ
従来は、「新電力」として特定規模電気事業者(PPS)としての登録を行ってきたが、書類の不備がなければ認可される特定規模電気事業者とは異なり、業務の遂行能力が問われるため、申請から登録までの処理には約1カ月かかるといわれている。
小売電気事業の登録に際しては、最大需要電力に応ずるために必要な供給能力を確保できる見込みや小売電気事業を適正かつ確実に遂行できる見込み、小売供給の相手方からの苦情及び問合せを適切かつ迅速に処理できる体制が整備される見込みなどについて審査を行います(経済産業省 資源エネルギー庁 小売電気事業の登録申請受付についてのQ&A)
特定規模電気事業者には同年8月12日段階で734社が登録しているが、実際に電力小売を行う事業者はさらに絞られることになる。登録が完了すると小売電気事業者は営業活動を開始できるようになり、2016年1月からは契約変更の申し込みを受け付けられるようになる予定だ(図1)。
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