“セット割”に勝負を託す、東京電力の新料金プラン:電気料金の新プラン検証シリーズ(5)(4/4 ページ)
首都圏は小売全面自由化で新たに開放される家庭・商用向け低圧市場の中で、最も激しい事業者間の競争が予想される。その中で現在最大の顧客を抱え、“守る立場”にいるのが東京電力だ。その同社がついに電力料金プランの概要を発表した。
「でんき家計簿」は「くらしTEPCO」へ
東京電力では今回の2016年1月8日に、こうした新料金プランの紹介と試算が行えるサイト「くらしTEPCO」をオープンする。その後同年1月15日からは、同サイトを通じて新プランへの加入申し込みを行えるようにする予定だ。
くらしTEPCO内には、新料金プランに申し込んだユーザーのマイページも開設される。新料金プランが適用される2016年4月以降、電気使用量のグラフや利用明細、保有ポイント数などを確認できる機能を順次リリースしていく(図9)。東京電力ではこのくらしTEPCO上で提携する他社のサービスも提供していく方針だ。現時点でリクルートグループのリフォーム会社紹介サイト「ホームプロ」との提携を発表している。東京電力によれば、将来はくらしTEPCO内から有料サービスを提供していくことも検討しているという。
東京電力では基本的な料金プランと、ポイントおよびセット割引、そしてこうした付加価値サービスの3つを組み合わせて顧客にアピールしていく狙いだ。なお、現在こうしたWebサービスの機能を担っているのは「でんき家計簿」だが、こちらは2017年3月までにくらしTEPCOに統合する予定だ。しかし従来電灯B/Cなどのこれまでの料金プランを継続するユーザーに対しては、でんき家計簿でのサービス提供を継続していく。
中部電力と関西電力管内に進出
電力の小売全面自由化が始まれば、東京電力もこれまでの管内だけでなく、他の地域でもサービス提供が可能になる。“地方進出”の第1弾として、現在の関西電力と中部電力の管内に進出する。
こうした地域に住むユーザーは東京電力の顧客ではない。実際にはソフトバンクなどのパートナー企業が、現在他の電力会社を利用しているユーザーに対してアプローチしていくことになる。そこでこれらの地域では、提供するプランを一部に絞り、価格も東京電力管内より低く設定している。2016年中に関西・中部地域で20万件の契約を目指す計画だ(図10〜13)。
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