蓄電池のように水素を使う、再生可能エネルギーの出力変動対策に:自然エネルギー(2/2 ページ)
再生可能エネルギーの導入を拡大する上で出力変動への対応は必須だ。東北電力はこの課題に対し、水素製造を活用して出力変動を吸収する技術の研究開発を計画している。2016年7月19日から仙台市にある同社の研究開発センターで「水素製造システム」の設置工事が始まった。
蓄電池システムと同等の性能を目指す
東北電力ではこれまで再生可能エネルギーの導入拡大に伴う系統安定化に向け、他の電力会社に先行して大型の蓄電池システムの活用に取り組んできた。既に複数の設備が営業運転を開始している。
基幹の変電所の1つである宮城県の「西仙台変電所」では、2015年2月から容量2万kWhの蓄電池システムが稼働を開始している。続いて2016年2月からは福島県の「南相馬変電所」で、さらに容量が大きい4万kWhの蓄電池システムが営業運転を開始した(図1)。この南相馬変電所に導入した蓄電池システムだけで、再生可能エネルギーによる発電設備の接続可能量を5万kW増やせる見込みだという。
東北電力このように再生可能エネルギーの出力変動対策に対して、蓄電池システムを活用した取り組みを先行して行っている。新たに開始する水素製造を活用した変動吸収技術については、出力変動対策としてこうした蓄電池システムと同程度の性能が見込めるかどうかを検証していく計画である。
今回、設置工事を開始した水素製造装置は2017年10月に設置が完了する見込みだ。計画では2017年3月〜2019年3月までの2年間実証研究を行う予定だ。東北エリアでは2016年4月に東北初の商用水素ステーションがオープンするなど、水素社会の実現に向けた取り組みが少しずつ広がってきた(関連記事)。再生可能エネルギーの導入拡大だけでなく、水素社会に向けた取り組みのどちらの観点からも期待が掛かる実証だ。
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