富士通、2050年までにCO2ゼロへ 中長期環境ビジョン:自然エネルギー
富士通は2017年5月、脱炭素社会に向けた中長期環境ビジョン「FUJITSU Climate and Energy Vision」を策定した。2050年までに自らのCO2ゼロエミッションを目指すという。
2050年までの中長期環境ビジョンを策定
「低炭素」から「脱炭素」に向けた転換が必要――。富士通は、2050年までの中長期環境ビジョン「FUJITSU Climate and Energy Vision」を策定した。ビジネスを通して気候変動の緩和と適応に貢献することを狙いとして、以下の3軸で構成する。
1つ目は、2050年までのCO2ゼロエミッション実現である。人工知能(AI)制御によりデータセンターの電力消費量の最適化を図るなど、最新のテクノロジーを開発・導入することで、自らのCO2排出量の大幅な削減を目指すという。
再生可能エネルギーや炭素クレジットを戦略的に活用することも挙げた。炭素クレジットとは、取引可能な温室効果ガスの削減量の証明である。日本政府は途上国と協力して温室効果ガスの削減に取り組み、削減の成果を両国で分け合う制度を推進している。
2つ目は脱炭素社会の貢献だ。スマートモビリティやモノづくり分野において、さまざまな顧客とエコシステムを形成し、脱炭素化に向けた取り組みを進める。例えば、位置情報や気象情報、交通量などの情報をリアルタイムに分析し、自動車の運行を最適化するなど、社会システム全体としてのエネルギーの最適利用を実現するとした。
3つ目は、気候変動への適応に貢献することを挙げた。センシング技術やAIによる需給予測等を通して、気候変動による顧客や社会への被害の最小化を目指す。
2020年以降の温暖化対策の国際的な枠組みとして、2016年11月にパリ協定が発効された。“産業革命前からの平均気温上昇を2℃未満に抑える”という目標が示された。またCO2排出量規制の強化や炭素価格の高騰、炭素税の導入も予測されている。
こうした背景を踏まえて、富士通グループでは「グローバルICT企業として、気候変動対策において果たすべき役割や実現すべき未来の姿を明確にした」とコメントした。
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