系統から船に電力供給して環境対策、日本電産がイタリアで:省エネ機器
日本電産がイタリアで「ドック・船舶間電力供給システム」を受注。ドックと国内電力網を接続して、係留中の船舶に電力供給を行うことで船舶エンジンによる発電を不要にし、汚染物質の排出抑制や騒音の低減に寄与するという。
日本電産は子会社の日本電産ASI(NASI、イタリア・ミラノ市)を通じ、イタリアの西リグリア海港湾システム管理公社との間で、ジェノバ港における「ドック・船舶間電力供給システム」の設計・設置案件を受注したと発表した。契約額は約800万ユーロ。このシステムは、ドックとイタリアの国内電力網を接続し、ドックから係留中の船舶に電力を供給する。これにより、汚染物質排出および騒音の源となる係留中の船舶エンジンによる発電が不要となるという。
今回のジェノバ港でのプロジェクトで、2台の6MV(メガボルト)・A(アンペア)の静的周波数変換システム(合計12MV・A)とともに、スイッチボードや低圧・中圧変圧器などの付随部品・ケーブル工事を同時に受注した。このシステムは船舶ごとに相違する電圧や周波数に適宜対応できるようにする。
日本電産の持つこの技術は市場での評価も高く、今回の公開入札でも港湾環境汚染対策・エネルギー節減の両面で最高評価を受けて受注に結びついたという。同システムの導入によりジェノバ港は、2003年の「EU環境勧告」に対応するだけでなく、2025年導入予定の「新EU港湾環境指令を」クリアし、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)の排出量を軽減。さらに、騒音についても大幅な軽減を図ることが可能としている。
なお、同社はジェノバ港の他、同システムをイタリア内外の港湾で多数納入している。同国ではリボルノ港、ムッジャーノ港、ラスペツィア港、タラント港(イタリア海軍専用港)などで実績を重ね、国外ではツーロン港(フランス)、ロサンゼルス港(米国)、ジュノー港(アラスカ)やイェーテボリ港(スウェーデン)で導入されている。
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