ニュース
落差26.6メートルが100世帯分の電力に、農業用ダムを活用した水力発電所:自然エネルギー
山口県で県が保有する農業用ダムを活用した水力発電所が完成。有効落差26.6メートルを活用して、年間100世帯分の発電量を見込む。
山口県は民間企業が小水力発電施設を建設・運営し、売電収入の一部を管理者へ納付する、新たな発電施設導入モデルを推進している。2019年2月1日にこの方式を採用し、県有の農業用ダム「温見(ぬくみ)ダム」(下松市)を活用した小水力発電所が稼働した。
完成した「温見ダム小水力発電所」の設置費用は約9000万円で、有効落差26.6メートル、水量最大0.3立方メートル毎秒を利用して発電する。最大出力は49.5kW(キロワット)で、年間発電量は約100世帯分の使用電力量に相当する37万863kWh(キロワット時)を見込んでいる。
山口県の取り組みは、ダム施設の一部を民間企業に賃貸し、民間企業が水力発電所の建設および運営を行う。運営主体となる民間企業は、売電収益の一部を他目的利用料としてダムの管理者へ支払う仕組みだ。ダム管理者は、小水力発電運営に伴うリスクを負わず新たな収入源を得ることができ、維持管理負担の軽減につながるメリットがある。
関連記事
- 「水路で発電」を低コストに、3人で設置できるマイクロ水車
日本の各地に広がる用水路。規模は小さいものの、その水流を活用して発電する取り組みが広がっている。NTNは農業・工業用水路に設置しやすい、プロペラ式の小水力発電機を開発した。このほど福島県須賀川市の「新安積疎水」での実証を終え、2016年12月から販売を開始する予定だ。 - 落差1メートルで発電する小水力発電機、福島でデモ稼働
協和コンサルタンツは、開発した1メートルの落差で発電可能な小水力発電機のデモンストレーションを福島県白河市で開始。地元住民が小水力発電への関心を高める機会とする他、地域小学校の防犯・防災、環境教育に活用する。 - 清水建設が小水力発電に本格参入、30年までに総出力1万kW体制へ
清水建設が小水力発電事業に本格参入。2030年までに総発電出力1万kW体制を構築する方針だ。第1弾として富山県に発電能力960kW(キロワット)の発電所の建設に着手する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.