水素燃料を使う次世代鉄道、トヨタ・JR東日本・日立が共同開発へ:電気自動車
JR東日本、日立、トヨタが水素を燃料とする燃料電池と蓄電池を電源とするハイブリッドシステムを搭載した試験車両を共同開発すると発表。鉄道技術と自動車技術を融合し、環境負荷の低い新たな鉄道車両の実現を目指すという。
JR東日本、日立製作所、トヨタ自動車(以下、トヨタ)は2020年10月7日、水素を燃料とする燃料電池と蓄電池を電源とするハイブリッドシステムを搭載した試験車両を共同開発すると発表した。鉄道技術と自動車技術を融合し、環境負荷の低い新たな鉄道車両の実現を目指すという。
開発する試験車両はFV-E991系の2両1編成。高圧水素タンクを搭載し、その水素と燃料電池で発電を行う。主回路用蓄電池を搭載し、燃料電池で発電した電力の他、ブレーキ時の回生電力を充電する。この燃料電池装置と主回路用蓄電池の両方からの電力を主電動機に供給するハイブリッド駆動システムで、車輪を動かす制御を行う仕組みだ。燃料電池装置の開発はトヨタが、ハイブリッド駆動システムの開発は日立が担当する。
搭載する燃料電池は固体高分子形で、出力60kWのモデルを4基、高圧水素タンクは充填圧力70MPa、水素貯蔵容量51Lを5本組み合わせたユニットを4基、主回路用蓄電池はリチウムイオン電池を採用し、容量120kWhを2台搭載する。車両の最高速度は100km/h、加速度は2.3km/h/s、航続距離は140kmとする計画。
車両愛称名は「HYBARI(ひばり)/HYdrogen-HYBrid Advanced Rail vehicle for Innovation」。「変革を起こす水素燃料電池と主回路用蓄電池ハイブリッドの先進鉄道車両」をイメージし、HYには水素(HYdrogen)の意味とともに、HYBでハイブリッド(HYBrid)の意味を込めたという。
試験車両は2022年3月をめどに実際の走行試験も行う。試験区間は鶴見線、南武線尻手支線、南武線(尻手〜武蔵中原)を計画している。
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