検索
ニュース

容量市場を補完する「予備電源制度」――調達量と費用負担の概要法制度・規制(3/5 ページ)

2024年度以降に本格的な運用がスタートする容量市場。政府では容量市場を通じた調達量の抑制と、控除量のリスクをカバーするための対策として「予備電源制度」の創設を検討中だ。このほど同制度の調達方式や費用負担に関する詳細が議論された。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

予備電源の立ち上げ期間とプロセスの概要

 新たに設けられる予備電源制度は、あくまで電源の休止状態を維持するための制度であり、実際の電源の立ち上げ(再起動)のためには、「供給力公募(kW公募)」や「容量市場の追加オークション」等の別のプロセスが必要となる。

 この観点から、予備電源は立ち上げプロセスが実施されるまでは「供給力の外側」にあるものと位置付けられ、「準供給力」とみなされる。

 休止電源は、その電源に対する事前の修繕や点検の大小により、立ち上げに要する期間が異なる。このため予備電源制度では、

  • 事前に定期点検や必要な修繕等を済ませておくことで、短期(3カ月程度)での立ち上げを想定する電源
  • 立ち上げが決まった後に必要な修繕等を行い、長期(10カ月〜1年程度)での立ち上げを想定する電源

の2つに区分を設けることとする。

 立ち上げプロセスの一例として、2022年度冬季kW公募および容量市場(追加オークション)のスケジュールは図4のとおりである。


図4.2022年度冬季kW公募・容量市場のスケジュール 出典:制度検討作業部会

容量市場メインオークションからの控除量

 予備電源は、容量市場と密接に関連した制度である。現在、供給力は、容量市場を通じて費用効率的に調達することとしているが、実際には容量市場の外にも一定の供給力が存在する。

 容量市場(2020年度メインオークション、実需給2024年度)で確保された供給力と、供給計画(2023年度における2024年度計画)を比べると、表4のように、一定の増減が生じている。


表4.供給計画と容量市場で確保された供給力の差分 出典:制度検討作業部会

 これらのうち、原子力再稼働などについては、供給力供出の蓋然性が高いとは言い難いため、容量市場での調達量からこれを事前に差し引く(控除する)ことは適切ではない。

 他方、一部の火力・水力については、自家発電源が工場の生産プロセスに影響を受けることを理由に、容量市場への応札を見送るケースがある。このような電源については、供給力供出の蓋然性が高いため、容量市場での調達量から差し引く控除量として扱うことが可能と判断された。

 火力・水力の容量市場(実需給年度)不参加分は、2024年度:約200万kW、2025年度:約170万kWと推定されるが、控除量を保守的に見積もる観点から、2024年度と2025年度いずれも不参加であった約120万kWを、2023年度(実需給2027年度)容量市場メインオークションからの控除量とすることとした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る