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「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?:太陽光(4/4 ページ)
次世代の太陽電池として普及が期待されている「ペロブスカイト太陽電池」。その開発動向や市場創出に向けた日本政府の投資戦略などを紹介する。
政策誘導によるGX市場創造に向けて
ペロブスカイト等の次世代型太陽電池のGX市場を創造するためには、補助金等による支援策のほかに、需要の創出に向けた政策誘導も必要となる。
その一つが、次世代型太陽電池の「導入目標」の策定であり、2025年からの事業化を見据え、2020年代中頃に年間100MW規模、2020年代後半にはGW級の量産体制を構築することを前提に、今後具体的な数値を検討する。
なお、温対法に基づく「政府実行計画」や地方公共団体実行計画制度を通じて、国や地方公共団体等の公共施設での率先導入を行うこととして、公共施設の導入目標は先行して検討する予定としている。
またシリコン系太陽電池では、日本企業は市場シェアを落としたことを反省材料として、ペロブスカイトでは輸出による海外市場シェア獲得も目指し、欧米等とも連携した国際標準化、IEC規格等の策定を進める予定としている。
ペロブスカイト太陽電池の大規模な導入計画
第一生命保険、中央日本土地建物、東京センチュリー、東京電力PG、東電不動産、東京電力HD等による「内幸町一丁目街区南地区第一種市街地再開発事業」では、世界初となる1MWを超える規模でのフィルム型ペロブスカイト太陽電池を、高層ビルの壁面へ導入する計画が公表された。
今後もこの事例のように、電池メーカー単独ではなく、ユーザーと連携して開発・実証が進められることが期待される。
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