検索
ニュース

導入ペースが鈍化傾向の太陽光発電、導入拡大への課題と業界団体からの要望とは?第30回「再エネ等に関する規制等の総点検TF」(2/5 ページ)

日本での導入量が減少傾向にある太陽光発電。このほど開催された第30回「再エネ等に関する規制等の総点検TF」では、太陽光発電の導入拡大に向けた課題の整理と、業界団体による制度改革要望のヒヤリングが実施された。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

国内の太陽光発電の導入トレンド

 2022年度末の太陽光発電導入量70.6GW(非FIT/非FIPを含む)を起点として、国の2030年度導入目標103.5〜117.6GWを達成するためには、年間4.1〜5.9GWの新規導入が必要となる。

 ここ数年の新規導入量は年間5GW程度で推移しているが、FIT/FIPの新規認定量は2015年度以降大幅に減少しており、2022年度は年間1.5GWに留まっていることから、今後は新規導入量も2GW程度に減少することが懸念されている。

 ただし近年では、FIT/FIP制度によらない導入量も増加しつつあり、非FIT/非FIP案件の導入を促進することも重要である。


図3.国内の太陽光発電の導入量・認定量 出典:JPEA

国内事業用太陽光発電のコスト動向

 調達価格等算定委員会によると、2022年設置の事業用太陽光の「平均」発電単価は概ね12〜14円/kWh程度となっている(図4)。なお、設備利用率が確認できた事業者4,006件のうち、655件(16.4%)が10円/kWh未満で事業実施できていることが報告されている。

 FIT/FIPでは、太陽光発電の運転開始期限が3年間であることを踏まえ、費用効率的な事業実施を促していく観点から、平均単価ではなくトップランナー水準に着目しており、2025年度のFIT/FIP価格は、地上設置10kW以上50kW未満:10円/kWh、地上設置50kW以上:8.9円/kWh、屋根設置10kW以上:11.5円/kWhが設定されている。


図4.事業用太陽光 平均発電単価の推移(円/kWh) 出典:調達価格等算定委員会

 また、3月8日に入札結果が公表されたFIT/FIP太陽光発電の第19回入札(令和5年度第4回)では、供給価格上限額が9.28円/kWhであったところ、最低落札価格:0.00円/kWh、加重平均落札価格:5.11円/kWh、最高落札価格:6.98円/kWhとの結果であった。0円入札はやや特殊な事情であると考えられるが、トップランナー的な事業者においては順調なコストダウンが進んでいることが推察される。

 ただし、JPEAが会員にアンケート調査を行ったところ、「調達価格/基準価格の急速な低下にコスト削減が追随できていない」との回答が81%に上ることが報告された。

 昨今の人件費高騰やケーブル盗難による保険料アップ、頻発する出力制御による売電収入減少などにより、採算確保が困難となっていることから、JPEAでは事業者の投資意欲を喚起するため、調達価格等の算定にあたっては、コスト動向の実情を踏まえつつ数円/kWh程度の増減を含めた柔軟な対応を要望している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る