企業は製品にどう表記すべきか? 「カーボンフットプリント(CFP)」の表示ガイドラインの検討がスタート:第1回「カーボンフットプリントの表示等の在り方検討会」(5/5 ページ)
製品ライフサイクル全体のCO2排出量を記録・公開する「カーボンフットプリント(CFP)」。企業が実際に自社の製品やサービスを販売する際、CFPの情報をどのように表記すべきかを示す表示ガイドラインの検討が始まった。
CFP算定報告書の記載項目
CFP表示にあたり、CFPガイドラインでは、算定の透明性を担保するために、補足情報としてCFPの算定結果や算定方法などを取りまとめた「CFP算定報告書」を作成することを求めている。
算定報告書に記載すべき情報等についてはCFPガイドラインに解説されているが、これら全ての情報(表2の左列)を網羅することは企業の負担が大きいと考えられる。
このことがCFPの普及を阻害するおそれもあるため、当面の間は、「CFP実践ガイド」で紹介している事例(表2の右列)を参照すること(つまり、一部の項目を省略すること)を許容する。
CFPの比較表示
CFPは、製品カテゴリーが違う場合、そもそも製品の機能単位が異なるため、同一の算定ルールが適用できず、CFPの値の単純比較をすることはできない。よって、CFPの比較は、同一の製品/製品カテゴリー間に限られるが、同一製品カテゴリーであっても、機能のわずかな差異や算定時期の違い(使用する電力の排出係数の違い)等がCFPの値に影響するため、単純に比較することは困難である。このため、CFPガイドラインでは、製品別算定ルールについて、他社製品と公に比較する場合は、3名の独立した外部専門家によるレビューを行う必要があるとしている。
CFPの値を自社製品や業界の同一製品カテゴリー内のベースライン等と比較する場合、ライフサイクルステージや機能単位、市場、参照ルールが共通であることを前提として、消費者の誤解を招かぬよう表示することが求められる。
なお、CFPの算定結果のみをもって、GHG以外の環境影響(例えば、生物多様性)についても優れているかのような表現をすることはNGである。
すでに一部の地方公共団体や、国の他制度では、CFPを活用した様々なラベル制度が運用されている。図7の2つの例はいずれもCFPそのものではなく、大阪府による「大阪版カーボンフットプリント」(左図)は削減率を表示するラベルであり、農水省「みえるらべる」(右図)では、等級を星の数で表している。消費者の混乱を招くことがないよう、ある程度の棲み分け、整理が期待される。
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