再エネ出力制御の最新見通しが公表 蓄電池の早期系統接続に関する暫定措置も:第53回「系統WG」(5/5 ページ)
再エネ電源に対する出力制御の見通しについて、最新のデータが公表された。また、昨今増加している系統への蓄電池の接続について、その早期接続に向けた対策の方向性も明らかになった。
充電制限の方法と費用負担の考え方
系統用蓄電池の早期連系対策とは、系統増強することなく、運用面の工夫により系統接続を認めるものであるため、その確実性を高める必要がある。本来であれば、一般送配電事業者から蓄電池の充電制限スケジュールをオンラインで配信・設定する方法が適切であるが、システム構築に時間を要することから、結局は早期接続できないといった問題を抱えたままとなる。
よって、当面は蓄電池事業者に充電制御を委ねる方式とせざるを得ないが、蓄電池事業者が誤って制限時間帯に充電を行った場合、系統設備容量を超過する潮流が流れ、設備損壊やこれに伴う停電等、一般需要家を含む他事業者へ影響を及ぼすリスクがある。
このため、フールプルーフ(誤操作をしても事故につながらない、または誤操作を防ぐ設計手法)を前提として、蓄電池事業者自らが、指定時間帯における充電を制限するシステム的セーフティを具備することを求めることとする。さらに、一般送配電事業者による系統全体でのフールプルーフの仕組みについても、引き続き検討する。
なお、早期連系追加対策の実施には一定の費用が発生するが、早期連系のメリットを享受する蓄電池事業者自身がこれを負担する(特定負担)。早期連系追加対策の実施にかかる主な費用としては、以下のものが考えられる。
- 充電制限に伴う機会損失
- 蓄電池設置事業者が設置するシステム的セーフティの機器の設置費用や、当該機器の更新、保守・運転、廃止に係る費用
- 仮に蓄電池設置事業者が設置するシステム的セーフティが機能せず、当該事業者以外の設備等に損害を与えた場合の復旧費用および、それに伴う第三者からの損害賠償費用等
このほか資源エネルギー庁では、早期連系対策の適用系統の詳細条件や受入上限量、アクセス検討フローの具体的検討を進め、2025年4月から早期連系追加対策を適用開始する予定としている。
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