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不確実性が増す国際情勢 2040年度のエネルギーミックスを考える上での複数シナリオ:第66回「基本政策分科会」(3/4 ページ)
政府は新たなエネルギー基本計画などの策定に向けて、日本が目指すべき2040年度頃の「GX2040ビジョン」の検討を進めている。その議論を担う基本政策分科会では、さまざまな研究機関などから、今後のエネルギー情勢に関する複数の将来シナリオが提示された。
地球環境戦略研究機関(IGES)によるシナリオ分析結果
地球環境戦略研究機関(IGES)では、「直線的削減シナリオ」だけでなく、先述の図1の「③下に凸の経路」に相当する「早期削減シナリオ」についても分析を行った。これは、他の専門機関によるモデル分析とは異なり、ビジョンや社会の構造的変革の在り方について、「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」加盟企業等のステークホルダーとの対話に基づき移行戦略を検討する「トランジション・シナリオ」のアプローチを採用したものである。
IGESの「早期削減シナリオ」では、2040年時点で再エネ及び蓄電池、水電解装置(水素製造)の導入が大きく進むと想定し、2040年の再エネ比率(系統電力需要ベース)は72〜79%に達すると推計している。
デロイトトーマツコンサルティングによるモデル分析結果
デロイトトーマツコンサルティングでは、エネルギーモデル「TIMES」を活用し、地理データに基づく再エネ導入可能量や電力系統情報等を入力することにより、シナリオ別エネルギーミックスを分析している。同社の想定シナリオは以下のとおりである。
- 再エネ技術進展シナリオ:太陽光や陸上風力、洋上風力の価格が世界水準に収斂するケース
- 水素技術進展シナリオ:輸入水素の価格が政府目標(2050年20円/Nm3)に沿って低減するケース
- CCS技術進展シナリオ:CO2の貯留可能量が政府目標(2050年2.4億トン/年)に沿って拡大するケース
- 3技術進展シナリオ:再エネ、水素、CCSがいずれも上記3シナリオに沿って技術進展するケース
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