日本のGX戦略をアップデート 新たな「GX2040ビジョン(案)」の内容とは?:第14回「GX実行会議」(2/5 ページ)
日本のGX(グリーン・トランスフォーメーション)の実行策について検討を進めてきた「GX実行会議」。同会議では昨今の国際情勢の変化などを受け、これまでの戦略をアップデートした「GX2040ビジョン(案)」を公表した。
戦略分野に税制優遇を導入
米国のIRA法や欧州のグリーン・ディール産業計画など、戦略分野の国内投資を強力に推進する産業政策競争が世界的に活発化していることを踏まえ、総事業費が大きく、特に生産段階でのコストが高いもの(電気自動車、グリーン鉄、グリーン化学、SAF、半導体の一部など)について、生産・販売量に応じた税額控除措置を講ずる「戦略分野国内生産促進税制」を導入していく。
新たな産業創出に障害となる規制については、社会的な影響も考慮に入れながら、必要な見直しを行っていく。
公正取引委員会は、2024年4月にガイドライン「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」の改定版を公表し、予見可能性の向上のため、他事業者との情報交換が問題とならないケース、共同廃棄が認められるケース等について明確化を行った。今後も市場の実態等を踏まえ、継続的にガイドラインを見直す予定としている。
GX産業につながる市場創造
成長を目指して継続的にGX投資を行うには、将来の需要に対する予見性が不可欠である。しかしながら現時点、コストアップを伴うGX製品に対する需要は顕在化しておらず、従来の市場メカニズムだけでは需給の循環が生じにくい状況にある。
このため、サプライチェーン全体でGX製品・サービスが有するGX価値を評価することによる足下の需要創出を進めると同時に、成長志向型カーボンプライシング構想による段階的な炭素価格の上昇を通じた中長期的な予見性確保という両輪のアプローチで、GX市場の創造を目指す。
環境価値(GX価値)の見える化に向けては、製品カーボンフットプリント(CFP)のほか、排出削減量に着目した指標(削減実績量、削減貢献量等)の開発が進められており、国際的なルール形成に積極的に参画し、普及を促進する。
グリーン購入法や環境配慮契約法に基づく、国や地方公共団体等によるGX製品の率先購入を拡大するほか、民間部門においては、GXリーグに創設された「GX率先実行宣言」を活用し、企業による主体的な取り組みを進める。例えば、「ゴールドグレード」宣言を行った田中鉄工株式会社では、自社製品に使用する鋼材の100%を2030年までにグリーン鉄へ転換する目標を掲げている。
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