検索
ニュース

太陽光発電のケーブル盗難対策 スクラップ買取業者に届出や本人確認を義務付けへ第3回「金属盗対策に関する検討会」(3/4 ページ)

太陽光発電事業者を悩ませているケーブル盗難問題。警察庁ではその対策として、届出制度や本人確認の義務化など、金属スクラップの買取業者に向けた新たな施策を取りまとめた。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

今後の金属くず買い受け規制の強化

 現在、「金属くず条例」が制定されている17道府県を除き、金属くずの買取り(買い受け)は、許可や届出を行うことなく、自由に行うことが可能であり、全国的な実態も把握できていないという課題がある。

 これを許可制にするという考え方もあるが、急に規制を厳しくするとそもそも許可申請を行わない業者も現れ、結局はアンダーグラウンドのままとなることを避けるため、まずは届出制を設けることにより、買い受け業者の実態把握に努めることとする。

 また、「金属くず条例」が制定されている17道府県を除き、「古物」に該当しない金属くずの売却は規制がないため、金属盗犯は氏名等を確認されることなく、盗品を容易に処分(売却)可能な状態となっている。

 よって今後は、金属くず買い受け業者に対して、顔写真付きの本人確認書類による本人確認を義務付けるとともに、その記録の作成及び保存を義務付けることとする。適正な業者の多くはすでに、本人確認や取引記録の作成保存を行っていることから、新たな規制は負担にはならないと考えられる。なお、犯罪収益移転防止法等を参考に、過去に本人確認済みの顧客との取引については、本人確認義務を免除し、買い受け業者の負担を軽減する。

 また、持ち込まれた金属くずが盗品の疑いがある場合、買取り業者は警察へ申告することを義務付ける。盗品処分の防止及び盗品疑義の申告に役立てるため、警察から金属くず買い受け業者に対して、金属盗難被害等に関する情報の提供を行う。

 なお、規制対象とする金属は、まずは被害の多い「銅」として、今後の状況に応じて規制対象金属を追加することとした。

犯行用具の所持等に対する法規制

 犯行用具の所持等に関する現状の規制としては、「軽犯罪法」と「ピッキング防止法(特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律)」が存在する。

 金属盗のうち特に金属ケーブルでは、比較的大型の「ボルトクリッパー」や「ケーブルカッター」が犯行用具として多く用いられている。これらの工具を隠匿携帯する場合(正当な理由がある場合を除く)、軽犯罪法の対象となるが、軽犯罪法の罰則は軽いため抑止効果が限定的であり、効果的な取締りも困難との課題が指摘されている。なおピッキング防止法では、軽犯罪法よりも罰則を強化(懲役又は罰金)するなどして、法の実効性を担保している。


図5.金属盗における犯行用具 出典:金属盗対策に関する検討会

 よってまずは、現に金属盗の犯行に用いられている大型の「ボルトクリッパー」や「ケーブルカッター」を規制対象として、今後の犯罪情勢に応じて、規制対象とする工具を追加することとした。なお、ピッキング専門用具と異なり、ボルトクリッパー等は正当な利用目的を持つ道具であるため、「単純所持」ではなく、「隠匿携帯」を処罰対象とする。どのような状態が「隠匿携帯」に該当するかは、運用上の指針で示す予定としている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る