ニュース
次世代地熱発電の推進に向け官民協議会が始動 長期ロードマップを策定へ:第1回「次世代型地熱推進官民協議会」(4/4 ページ)
再エネ電源における地熱発電の普及拡大に向けて、実用化が期待されている「次世代型地熱技術」。資源エネルギー庁では新たに「次世代型地熱推進官民協議会」を設置し、新技術の具体的な社会実装に向けた検討を開始した。
次世代型地熱技術に期待される発電コスト
再エネ特措法に基づく定期報告データによれば、稼働済みの従来型地熱発電(1,000〜15,000kW規模)の資本費は平均値126万円/kWであり、設備利用率83%・40年稼働と仮定すると4.33円/kWhとなる。また、同じく1,000〜15,000kW規模の運転維持費の平均値は6.9万円/kW/年であり、設備利用率83%と仮定すると9.49円/kWhとなる。
先述のように地熱発電は「地下資源リスク」が高く、これに伴う「地熱調査費・地熱探査費・掘削費」等の初期(アップフロント)費用の比率が高いことが特徴である。
次世代型地熱技術では、これら初期費用の低減の可能性も含め、どの程度の発電コスト(円/kWh、万円/kW)であれば事業性を有するといえるか、検討が求められる。
次世代型地熱技術の長期ロードマップを策定へ
官民協議会では以上の論点を踏まえ、2025年中に次世代型地熱の社会実装に向けた長期ロードマップを取りまとめる予定としている。取りまとめでは、国による次世代型地熱に対する具体的な支援策のほか、次世代型地熱の発電コスト目標(〇円/kWh)、2040年・2050年時点の目標設備容量(〇GW)を示す予定としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
進まない地熱発電開発の打開策に エネ庁が「地熱開発加速化パッケージ」を公開
安定的な発電が可能であるなど、多くのメリットがある地熱発電。しかし開発コストの高さなど、さまざまな障壁によりその普及は進んでいない状況にある。資源エネルギー庁はこうした地熱発電の開発状況の改善に向けて、「地熱開発加速化パッケージ」を取りまとめた。
洋上風力発電の港湾利用における課題 国交省が対応策をとりまとめ
大型風車の採用や発電所の大規模化などが進む洋上風力発電。案件数の増加なども影響し、港湾利用についてさまざまな課題が顕在化していることを受け、国土交通省はその対策をとりまとめた。
地熱・中小水力発電のコスト動向と低減策――バイオマスは50kW以上をFIPへ
地熱発電・中小水力発電・バイオマス発電の今後はどうなるのか? 「調達価格等算定委員会」の第96〜98回会合で行われた業界団体へのヒヤリングや、2026年度以降の調達価格などの検討状況についてまとめた。

