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系統用蓄電池の接続検討が急増 受付量は1.1億kW超で「空押さえ」が課題に第3回「次世代電力系統WG」(4/4 ページ)

系統用蓄電池の接続手続きが急増し、系統量量の「空押さえ」状態などの課題が顕在化。資源エネルギー庁ではこうした状況を受け、系統用蓄電池の接続検討の実態を調査するとともに、系統用蓄電池の接続ルールの見直し等について検討を開始した。

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蓄電池と一般需要の協調による効率的な系統接続

 系統用蓄電池は、順調流側の系統運用容量確保の必要性という点では、一般の需要と競合するものであり、現在のファーム型接続の仕組みの中では、蓄電池が先着した場合、後着の一般需要が接続するために系統増強が必要となる。

 ただし、純粋に電力を消費する一般需要と、充放電が必ずセットとなる蓄電池では、やはり順調流のタイムシフトの容易性、受電の必要性は異なると考えられる。

 このため蓄電池では、系統N-1故障時に蓄電池の充電を停止すること(N-1充電停止)を条件とした早期接続もすでに開始されている。つまり、蓄電池が後着であれば、一定条件のもとでは、系統増強を行わずに早期接続する手段が設けられており、蓄電池と一般需要の競合を実質的に回避することが可能であると言える。

 この仕組みを利用すると、蓄電池が先着、一般需要が後着の場合であっても、蓄電池事業者と一般事業者間の協議が整う場合、一般需要がファーム型接続、蓄電池がN-1充電停止接続のように、接続形態を「入れ替える」ことも可能と考えられる。


図10.一般需要とN-1充電停止蓄電池の入れ替えのイメージ 出典:次世代電力系統WG

 これにより、当該系統では増強工事を回避することにより、既存系統の効率的な利用が可能となる。

 なお、これを行う場合、蓄電池は事後的にN-1充電停止装置を設置する必要があるほか、機会費用・逸失利益が発生すると考えられるため、蓄電池事業者と一般事業者間の契約の中で、経済的補償等について合意する必要がある。

 このような工夫は、あくまで民間の取り組みとして想定されているが、今後、一般送配電事業者や国などによる公的な支援の提供も期待される。

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