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排出量取引制度の「排出枠」 ベンチマーク方式による割当量算定の詳細:第2回「排出量取引制度小委員会」(4/4 ページ)
2026年度からの開始が予定されている排出量取引制度。その制度設計を検討する「排出量取引制度小委員会」の第2回会合では、ベンチマークやグランドファザリングにおける基準活動量・排出量の考え方、具体的な算定方法の詳細などが議論された。
割当量の調整の単位
本制度はEU等の排出量取引制度とは異なり、事業者単位での義務履行を求めているが、制度対象事業者全体の割当量は、当該事業者が保有する事業所ごとの各ベンチマーク対象プロセスとグランドファザリング対象の割当量を合算し、勘案事項による調整量を加えた量として算定される。
よって、割当量の調整についても原則として、事業所単位での変動(新設・廃止、活動量の増減等)が生じた場合に行われる。ただし、一つの敷地内にベンチマーク対象設備、グランドファザリング対象設備が併存する場合は、それぞれを一つの事業所と見なして調整を行うこととする。
また、エネルギー使用量1,500kL未満の小規模事業所については、報告等の手続や執行の簡素化の観点から、個別の調整ではなく、小規模事業所全体を一つの事業所と見なし、当該事業所群全体としての活動量に±7.5%の変動が生じた際に割当量を調整することとした。
小委員会では次回以降、排出枠割当におけるその他の勘案事項(早期削減、リーケージリスク、研究開発投資)について検討を行い、年末頃を目途に、2026年度制度開始に向けた取りまとめを行う予定としている。
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