プライム市場上場企業 2027年3月期からサステナビリティ開示基準の適用義務化へ:「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するWG」中間論点整理(5/5 ページ)
金融庁が2024年3月に立ち上げた「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」は、有価証券報告書における情報開示や第三者保証制度 などについての中間論点整理を公開した。
サステナビリティ情報の第三者保証の在り方
有価証券報告書におけるサステナビリティ関連財務開示は、重要な投資判断材料であるため、当該情報に対する第三者保証を義務付け、その信頼性を確保することは、我が国の資本市場の信頼性を確保し、投資者保護を図る上で有益と考えられる。
ただし、Scope3排出量は上流・下流のバリューチェーンから情報を取得する必要があるなど、当初から全てのサステナビリティ情報について第三者保証を求めることは、困難と考えられる。
よって、第三者保証制度の適用開始時期から2年間は、有価証券報告書におけるサステナビリティ関連財務開示のうち、Scope1・Scope2のGHG排出量に関する情報、ガバナンス及びリスク管理に対して第三者保証を義務付けることとし、3年目以降については国際動向等を踏まえ、今後検討することとした。
一般的に、保証の水準については、「限定的保証」と「合理的保証」があるが、企業に過度な負担を課すことなく、第三者保証制度を円滑に導入するため、サステナビリティ情報に対する保証の水準は限定的保証とする。
第三者保証の担い手
これまでの財務諸表監査については監査法人が担ってきたが、サステナビリティ情報については誰が保証を行うかが論点となる。
現時点、株式時価総額5,000億円以上のプライム市場上場企業の97%が自主的にScope1・Scope2のGHG排出量を開示しており、自主的に第三者による保証を受けている社は76%に上る。なお、この任意の保証業務実施者の半数以上が非監査法人系である。
また、サステナビリティ情報の第三者保証を提供するためのグローバル基準として開発されたISSA5000等では、監査法人だけでなくそれ以外の保証業務提供者も利用すること(profession-agnostic)を想定している。
WGでは、保証業務提供者の登録要件や品質管理体制、自主規制機関、検査・監督のあり方など保証制度の全体像を考慮した上で、保証の担い手について検討を行い、本年中を目途に結論を得る予定としている。
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