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排出量取引制度、「鉄鋼・セメント製造業」の排出枠割当に向けたベンチマーク案第2回「製造業ベンチマークWG」(5/5 ページ)

2026年度から始まる排出量制度。経済産業省の「製造業ベンチマークワーキンググループ」の第2回会合では鉄鋼業及びセメント製造業について、排出枠の割り当ての基準となるベンチマーク案が示された。

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セメント製造業向けベンチマークの対象範囲及び割当量の算定式

 セメント製造業によるCO2排出量は、約3,250万t(2024年度)であり、国全体のCO2排出量の約4%を占めている。セメント製造業は国内に15社・26工場あり、クリンカ(セメントの中間製品)を生産している国内事業者のすべてがCO2直接排出量10万tを超え、排出量取引制度の対象となっている。

 セメント製造工程は、原料の乾燥・粉砕・混合工程、その焼成・冷却によるクリンカ製造工程、石膏等を加える仕上げ工程の3つで構成されている。このうち、クリンカ焼成工程において、セメント製造工程全体のCO2排出量の9割以上が排出される。

 このため、セメント製造業については、セメント製造及び同一工場内におけるセメント製造に関連する製品全体をベンチマークの対象範囲(バウンダリー)として、「クリンカの生産量あたりの排出原単位」をベンチマーク指標とする。


図7.セメントベンチマークの対象範囲 出典:製造業ベンチマークWG

 ただし、事業所内でセメント製造以外の排出量取引ベンチマーク設定事業を実施している事業者もいるため、バウンダリー設定にあたっては他のベンチマークとの重複を避けることとする。

 また自家発電設備を保有する事業者は、系統電力使用に伴う間接排出量は減少するが、クリンカ製造に係るCO2直接排出量及び排出原単位は大きく増加することとなる。このため、ベンチマーク指標とする排出原単位の算定においては、直接排出量だけでなく、間接排出量も含めることとした。

 排出枠割当量は、ベンチマークに事業者ごとの直接排出比率を乗じて決定するため、自家発有無の違いが、有利/不利をもたらすことはない。


図8.間接排出の有無による排出原単位の違い 出典:製造業ベンチマークWG

 以上より、セメント製造業の排出枠割当量 = 【目指すべき排出原単位 × 直接排出比率 × 基準活動量】として、「目指すべき排出原単位」は、先述図1の上位X%に相当する水準をもとに毎年度設定される。また基準活動量は、2023〜2025年度における各社ごとの平均クリンカ生産量とする。

 今後WGでは、残る3業種(カーボンブラック製造業、石灰製造業、自動車製造業)のヒアリングを行いながら各業種のベンチマーク算定式を作成し、排出量取引制度小委員会において排出枠割当ての水準を取りまとめる予定している。

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