系統用蓄電池による「空押さえ」対策 契約申請の「土地取得」を要件化へ:第5回「次世代電力系統WG」(3/4 ページ)
系統用蓄電池の系統アクセス手続きが急増する中で課題となっている「空押さえ」の問題。資源エネルギー庁の「次世代電力系統ワーキンググループ」の第5回会合では土地取得を申請条件に加えるなど、その新たな対応策が議論された。
データセンター等の系統接続の現状と情報公開
AI需要の高まりに伴い、データセンター(DC)や半導体工場等の大規模な電力需要施設の建設計画が急増しており、一般送配電事業者各社に対する特別高圧需要の接続供給契約申込容量(2025年9月末時点)は、全国で約1,992万kWに上る(2025〜2029年度連系予定分。事業者が特定される虞があるもの等は除く)。九州エリアの申込容量495万kWは、同エリアの2024年度最大需要電力1,703万kWの約29%に相当する規模である。
一般送配電事業者はこれまでも、ウェルカムゾーンマップ等の情報公開により、早期に系統接続(電力供給)が可能な地点を示してきたが、東京エリア(東京電力パワーグリッド)では、DC等の特に大規模な需要家に対応するため、「大規模供給ポテンシャルマップ」の公開を開始した。
同マップでは5万kW以上の特別高圧供給を想定し、受電電圧154kV/66kV・空容量50MW以上の変電所や、受電電圧275kV・空容量400MW以上の変電所の地点とその概算工期(5年程度/10年程度)が図示されている。
データセンター等の系統接続の滞留と対応案
系統接続とその権利は、契約申込の順(先着優先)に確保されるため、DC等の需要家は不確定要素が多い段階で契約申込を行う。しかし、その後の手続きの滞留や需要規模の下方修正等により、系統容量の「空押さえ」が発生している。これは、真に電力を必要とする需要家への電力供給の妨げとなるほか、系統工事に要した費用は他の需要家が負担することとなり、公平性の観点でも問題が生じ得る。
DC等の大規模需要家が、不確定要素が多い段階で契約申し込みだけを行っても、結局、一般送配電事業者はその後の技術検討等が行えないため、系統接続手続きが滞留することとなる。
エネ庁ではこの対策として、受電地点等の供給条件が整った状態での契約申し込みを促す仕組みについて、検討を進める予定としている。
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