系統用蓄電池による「空押さえ」対策 契約申請の「土地取得」を要件化へ:第5回「次世代電力系統WG」(4/4 ページ)
系統用蓄電池の系統アクセス手続きが急増する中で課題となっている「空押さえ」の問題。資源エネルギー庁の「次世代電力系統ワーキンググループ」の第5回会合では土地取得を申請条件に加えるなど、その新たな対応策が議論された。
データセンター集積型GX戦略地域への対応方針
GX2040ビジョンでは、「ワット・ビット連携」の考え方に基づき、データセンター(DC)と電力・通信インフラを一体的に整備していく方向性が示された。
また国のGX実行会議では、規制・制度改革と支援策を一体で措置する「GX戦略地域」制度の創設が示され、その一類型として、GW(100万kW)級のDC集積地の形成が示された。
「DC集積型GX戦略地域」の選定プロセスとしては、国は自治体から提出された計画を踏まえ、まず「有望地域」を選定し、各種インフラ整備やDC誘致等の計画が優れた自治体を「GX戦略地域」に認定するという2段階の審査が予定されている。
ただし、この選定プロセスの進行中に、他の大規模需要家が系統容量を確保してしまい、DCが十分な系統容量を使用できないおそれもある。このため、DCが必要とする電力インフラの整備については、「有望地域」に選定された自治体が小売電気事業者を介して一般送配電事業者に接続契約の申込及び協議を行い、この時点で一旦、系統容量が確保される。その後、「GX戦略地域」に選定されなかった場合には、自治体は接続契約を取り下げ、系統容量が開放される。
当該自治体が「GX戦略地域」に選定された場合、いずれかの段階でDC事業者に系統接続の権利を継承させる必要があるが、具体的な手続きについては今後の検討予定としている。
なお、他の需要家に対する透明性確保の観点から、「有望地域」や「GX戦略地域」に関係する系統の状況については、一般送配電事業者により公開を行うこととする。
これまで基幹系統(各エリア上位2電圧)の広域的な整備については、全国的な費用回収の仕組みが措置されてきたが、DC等の接続が想定されるローカル系統(基幹系統・配電系統以外の系統)は、各エリアの託送料金を通じて費用回収が行われている。
エネ庁では、DC等の大規模需要家に対応した、新たな地内系統の整備の在り方について検討を深める予定としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
系統用蓄電池の接続検討が急増 受付量は1.1億kW超で「空押さえ」が課題に
系統用蓄電池の接続手続きが急増し、系統量量の「空押さえ」状態などの課題が顕在化。資源エネルギー庁ではこうした状況を受け、系統用蓄電池の接続検討の実態を調査するとともに、系統用蓄電池の接続ルールの見直し等について検討を開始した。
急増するデータセンター・蓄電池の系統接続 連系の迅速化に向け制度変更を検討
経済産業省が主催する「次世代電力系統ワーキンググループ」で、データセンターや系統用蓄電池の接続検討が急増していることを受け、迅速な接続に向けた規律の強化や、系統接続ルールの見直し案などが検討された。
蓄電所へのサイバー攻撃リスクが検討課題に 蓄電システムの収益性評価も公開
資源エネルギー庁の「定置用蓄電システム普及拡大検討会」で、系統用蓄電池のサイバーセキュリティ対策の動向や、業務・産業用蓄電システムの収益性評価が報告された。


