政府機関による電力の環境配慮契約 2027年度から「総合評価落札方式」を導入へ:「環境配慮契約法基本方針検討会・電力専門委員会」(令和7年度第3回)(4/5 ページ)
政府機関などが利用する電力の低炭素化に向けた施策として導入されている「環境配慮契約」。その制度設計を進める環境省の電力専門委員会で、国が調達する電力の排出係数しきい値の引き下げや「総合評価落札方式」の導入案が示された。
新たな加点項目に「追加性のある再エネ」を新設
今回導入する総合評価落札方式では、新たな加点評価項目として「追加性のある再エネ」を設けることとした。具体的には、RE100技術要件を参照して、運転開始日またはリパワリング日の15年以内の制限を設けることとし、調達電力全体に占める追加性のある再エネの割合に応じて評価する。
今回の総合評価落札方式の標準点項目「調達電力の再エネ割合」では、基準値を50%(表4)としているが、RE100では15%の緩和要件が設けられていることを踏まえ、追加性のある再エネが35〜100%の間で1〜5点を直線的に配点することとした。
なお、RE100 Technical Criteriaでは15年制限それ自体を「追加性」とは呼んでおらず、新規プロジェクトの要件として示されている。今後の混乱を招かぬよう、日本における「追加性のある再エネ」の定義の明確化が求められる。
新たな加点項目に「指定地域における持続的な再エネ電気の創出・利用に向けた取組」
現行の裾切り方式では加点項目の例として、「地産地消の再エネ電力メニューを販売していること」や「発電所の指定が可能な再エネ電力メニューを販売していること」が解説されているが、今回導入する総合評価落札方式でもこれに類似する加点評価項目として「指定地域における持続的な再エネ電気の創出・利用に向けた取組」を設けることとした。
これに該当する取組はあくまで調達者自身が判断することとなるが、電力専門委員会では「地域脱炭素化促進事業制度」で認定された事業による電力を供給している場合に満点(5点)を与えるなどの例が挙げられている。このほか、小売事業者が家庭用太陽光発電の卒FIT電力を調達する場合にその調達価格や調達電力量に応じて0〜5点を配点することや、横浜市と東北12市町村間のように連携協定先の再エネ調達についても加点することが想定されている。
任意項目として「DR等の取組」を追加
現行の裾切り方式では加点項目の例として、「需要家の省エネの促進、電力逼迫時における使用量抑制等に資する需要家に対する省エネに関する情報提供、簡易的なDRの取組」が解説されているが、「省エネの促進」とは抽象的であるため、単なる情報提供でも容易に加点となり得ることが課題として指摘されていた。
このため、今回導入する総合評価落札方式では「省エネ」に関する言及を削除して、評価項目をDRに絞る案が事務局から示された。しかしながら、省エネ(kWhの削減)はDR(kWの削減・シフト)と並び、今後も重要であると考えられるため、高度かつ実効性の高い省エネに限り評価対象とするなどの検討が求められる。
任意項目は調達者の判断により、加点項目に組み入れることも可能(満点50点の範囲に収めることが前提)であるが、そもそも配点は調達者の自由裁量であるため、すでに「任意項目」とすることの根拠に乏しいと考えられる。
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