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政府機関による電力の環境配慮契約 2027年度から「総合評価落札方式」を導入へ:「環境配慮契約法基本方針検討会・電力専門委員会」(令和7年度第3回)(5/5 ページ)
政府機関などが利用する電力の低炭素化に向けた施策として導入されている「環境配慮契約」。その制度設計を進める環境省の電力専門委員会で、国が調達する電力の排出係数しきい値の引き下げや「総合評価落札方式」の導入案が示された。
「環境配慮契約法基本方針」及び仕様書ひな型の見直し
発電事業において地域社会との共生を図ることは基本的な原則である。このため、「環境配慮契約法基本方針」を改正し、国等の電力供給契約において地域共生が図られていない発電施設で発電された電力の調達を避けるとともに、環境省が示す電力調達に関する仕様書ひな形においても、入札参加者の資格として、関係法令に違反していないこと等を示すこととする。
なお現時点の事務局案では、「再エネ電源の調達に際しては、地域共生が図られていない発電施設で発電された電力の調達を避けることとする」との案が示されているが、地域社会との共生が重要なのは再エネに限らないため、技術中立的な記述に見直すことが期待される。
また小売事業者に対するアンケート調査によれば、これまで国等の契約において、市場連動が許容されない等の料金体系の不一致や入札時の価格設定を要因として、入札を見送った事例が多いことが確認された。
このため、環境省が示す電力仕様書例を見直し、市場連動型料金メニューや独自燃料調整費についても入札可能であることを明確化することとした。
環境省では2026年1月に、総合評価落札方式の導入に向けたパブリックコメントを実施し、1年程度の周知期間を設けた後、2027年度から総合評価落札方式を導入予定としている。
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