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鉄鋼業の脱炭素化に向けた「グリーン鉄」 需要創出と国際標準化の動向「GX推進のためのグリーン鉄研究会 第3回フォローアップ会合」(4/4 ページ)

CO2排出量が多い産業である鉄鋼業。そのカーボンニュートラル化に向けて、低炭素化・脱炭素化された「グリーン鉄」の普及に向けた取り組みが進んでいる。経産省の「GX推進のためのグリーン鉄研究会 第3回フォローアップ会合」では、グリーン鉄の需要創出や国際標準化の動向などが報告された。

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グリーン鉄に関係する欧州の動向

 欧州では2026年1月から、炭素国境調整措置(EU-CBAM)の本格実施期間が開始された。EU-CBAMでは、実測値に代えてデフォルト値での報告も可能であり、現時点、日本産品のデフォルト値はEU平均及び主要競合国と比較して高くないが、中長期的には実測値を活用するニーズが高まると考えられる。

 EUの「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)」では、鉄鋼に関する具体的規則を2026年内に採択する予定としており、ESPRとCBAM及びEU-ETSの報告内容を将来的に統合していく方向性も示されている。

 ESPRが参照する基礎資料には、デジタル・プロダクト・パスポート(DPP)も含まれており、製品識別子は主として「ヒート番号」(電炉・転炉などで、溶融鉄の1杯ごとに管理された番号)に基づくものにすることや、CFP情報、リサイクル材含有情報等の掲載が提案されている。

 EU委員会のJoint Research Center(JRC)報告書では、鉄鋼製品の環境クラス分けを行うことが提案されているが、EU域外からの輸入材はCFPが高いものとして扱われており、日本からはその見直しを要請している。


図6.EU JRCレポートにおける鉄鋼製品の環境クラス分け 出典:グリーン鉄フォローアップ会合

グリーン鉄情報のサプライチェーンでの伝達

 グリーン鉄の市場拡大に向けては、グリーン鉄を使用した製品の価値が、サプライチェーンを通じて需要側に訴求できる仕組みを整えていくことが重要である。

 2025年度に実施した経産省調査事業により、このようなデータ連携が技術的に可能であることが確認されたが、データ連携基盤の構築以前に一層の検討が必要である課題等も特定された。これらの課題には「1.グリーン鉄利用量の明確な定義」「2.鋼材取引情報のデータ連携基盤への自動取り込み」「3.データ連携基盤に登録する時点での情報詐称を防ぐ仕組み」「4.データ連携基盤利用でグリーン鉄使用認証を兼ねる仕組みの是非」「5.端材の取り扱いの定義」などが含まれる。

 また、厳密なトレーサビリティを追求することは、サプライチェーンへの負担が大きいため、グリーン鉄の環境価値を過不足なく総量管理していくといった、目的に応じた連携基盤を構築していくことが重要と整理している。


図7.グリーン鉄と一般的な鉄が混在するケース 出典:グリーン鉄フォローアップ会合

※本稿において日本の鉄鋼業のCO2排出量は、「GX推進のためのグリーン鉄研究会」において参照された国立環境研究所「日本の温室効果ガス排出量データ」(インベントリ)の数値(最新の2024年度の鉄鋼のエネルギー起源CO2排出量(電気・熱配分後)は126百万t)を使用している。

 他方、日本鉄鋼連盟「カーボンニュートラル行動計画報告」(2026年2月6日)によると、2024年度のエネルギー起源CO2排出量(総量)は鉄鋼業全体(鉄連・カーボンニュートラル行動計画非参加会社も含む)で1億4,778万t-CO2と報告されている。この差異の要因について日本鉄鋼連盟に尋ねたところ、以下の回答が得られた。

  • 差異については双方が対象とするバウンダリの違いによると考えられる
  • インベントリでは、主に鉄鋼業が保有するコークス炉に係る排出はエネルギー転換部門に計上され、最終消費部門の鉄鋼業の排出とは切り分けられて計上されている。・一方でCN行動計画では当該エネルギー転換部門の排出も鉄鋼業の排出に含めているという部門の扱いの違いがある
  • 加えて、CN行動計画では上記同様、インベントリ上エネルギー転換部門に計上されるコークス専業メーカー(化学業)の排出の内、鉄鋼業が使用するコークスの製造に係る排出についてはバウンダリ調整を行い、鉄鋼業の排出に含めているという上記の部門間とは別の要素に起因する違いもある。この結果、鉄鋼業のCN行動計画の排出量とインベントリの排出量とで差が生じている部分もあるため、この点に留意いただきたい

 ご多忙の中、丁寧にご回答いただいた日本鉄鋼連盟に深く感謝申し上げる。

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