データーセンター急増の影響は? 広域系統整備の費用便益評価を公表:第104回「広域系統整備委員会」(3/5 ページ)
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、地域を越えて送電網を一体的に運用・強化する「広域系統運用」の実現に向けた検討が進んでいる。「広域系統整備委員会」の第104回会合では、足元の電力需要や電源などの動向を踏まえた新たなシミュレーションを行い、広域系統整備に関する費用便益評価結果が報告された。
広域系統整備に関する費用便益評価の手法
広域系統整備に関する費用便益評価は、現行の長期展望及び今回のレビューのいずれにおいても、「系統整備が行われない場合(Without)」と、「系統整備が行われる場合(With)」の差分(With-Without)により、評価している。
現行の長期展望の取りまとめ以降、中部関西間連系線に係る広域系統整備計画や中国九州間連系設備に係る広域系統整備計画を策定したため、今回のレビューでは、中部関西間連系線・中国九州間連系設備の増強および中地域交流ループを反映したものを「Without」として設定した。
また、広域系統整備による便益には、貨幣価値で表せるもの、そうでないもの様々あるが、長期展望における便益項目は、「貨幣価値指標」としては、燃料費・CO2対策コスト、アデカシー及び送電ロスを考慮し、「非貨幣価値指標」としては、系統の安定性、再エネ出力制御率及びCO2排出量を考慮した。また、調整力や慣性力といった再エネ大量導入というシナリオを成立させるための前提条件となるコストについては、系統増強の便益項目には織り込まず、政策目標実現のための社会コストとして示された。
東地域の費用便益評価結果
現行の長期展望では、北海道・東北エリアに大量の再エネが導入される想定のもと、電力の大消費地である東京エリアへ送るため、北海道東北間HVDC・東北東京間HVDC・東北東京間連系線(交流系統)などの増強方策が示されている。
今回の長期展望レビューにおいて、この系統増強について費用便益評価(B/C)を実施したところ、北海道〜東北間400万kW・東北〜東京間600万kWがB/Cが最も大きい結果となった。図3は、現行の長期展望と同様、アデカシー便益は下限、割引率は4%で示したものである。
また、再エネ出力制御率(北海道・東北エリア)は、系統増強により約40%から約20%へと低下する試算結果となった。この再エネ出力制御率の低減効果を考慮する場合、北海道〜東北間600万kW、東北〜東京間800万kWが有力な増強規模となった。この傾向は、現行の長期展望でも同様である。
同じく東地域について、「データセンター地方分散ケース」では、ベースシナリオと比較し、北海道・東北エリアの需要が増加し、東京エリアの需要は減少するため、B/Cは全体的に低下する。「電源立地地域への需要誘導が限定的なケース」では、東京エリアの需要がベースシナリオよりも増加するため、B/Cは増加した。
また再エネ出力制御率は、ベースシナリオと比べ「データセンター地方分散ケース」では全体的に低減する。つまり、データセンターの地方分散が進展する場合、系統増強規模が小さくとも、各エリアで再エネ電力の有効活用が図られると考えられる。
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